「フルートを上達するのにどのエチュードを選べばよいか、たくさんあって分からない」「フルートのエチュードはどのような順番でやっていけばよいのか知りたい」このような悩みや疑問はありませんか?
実はいくらエチュードに取り組んでも、自分のレベルや課題に合わないものを練習していては、一向に上達することはありません。
ですので、エチュードを購入する前に、それぞれのエチュードの特徴や難易度を知っておく必要があります。
そこでこの記事では、吹奏楽CDのレコーディング30枚以上に携わった著者が、数多く出版されているフルートのエチュードの中から特におすすめのものを、難易度・レベル順に詳しく解説していきます。
この記事を読めば、フルートのエチュードの全体像や今の自分に合ったエチュードを知ることができるはずです。
ぜひ最後までお読みください。
フルートのエチュード~初心者編
まずは初心者向けのエチュードを紹介していきます。
初心者用のエチュードといっても、フルートを触ったことのない方向けのものから、フルートは数年やっているが本格的な勉強を始めたい方向けまで、バリエーションの幅は意外とあるので注意してください。
フルート教本(管楽器メソッドシリーズ)(加藤克朗)
この管楽器メソッドシリーズのフルート教本は、初心者の中でも、フルートを全く触ったことがない方におすすめのエチュードです。
楽器の持ち方・運指表などのフルートの基本的な要素から、楽譜の読み方などの解説もしているので、フルートで音楽の勉強を始めて行う、楽譜の読み方を並行して覚えたいという方にも向いています。
それぞれの章で、1つずつ技術をゆっくり習得し、練習曲まで行うというのが基本的な構成です。
童謡や民謡なども書かれているので、気軽に楽しむことができます。
デュエットの形の曲が多く、先生や同級生などと楽しみながら上達を目指すことができます。
なお、この管楽器メソッドシリーズのエチュードには続編があります。
2巻では、トリル、ダブルタンギングなどの技術もでてきて、ここまで修了すればフルートの基本的な奏法はおさえることができます。
他のエチュードに移る方も多いですが、このエチュードのスタイルが気に入った場合、継続しておこなうのも効果的です。
フルート教則本(アルテ)第1巻
アルテのフルート教本は全3冊出版されており、最も易しいのがこの第1巻です。
初心者向けのフルートのエチュードでは最も有名な1冊と言えるでしょう。
フルートの練習は「基礎練習(音階含む)」「エチュード(練習曲)」「楽曲」という3つが主な構成要素となっています。
アルテの教本1冊でこの3つの要素全てに取り組むことができるため、練習メニューを組むのが難しい初心者にとっても、この1冊に取り組むことで効果的に上達を目指すことができます。
ただし、全くの初心者がこのアルテの教本から始めるのはオススメしません。
ある程度、音を出すことに慣れている、低音・中音・高音をそれぞれ出すことができるようになったうえで取り組むようにしましょう。
フルート小練習曲Op.131「かわいい練習曲」(ガリボルディ)
フルートの教則本を数多く残している、イタリア人のガリボルディが作曲した初心者向けのエチュードです。
初心者向けのエチュードではありますが、内容が濃く、様々なアーティキュレーションやダイナミクスが求められます。
1曲1ページの曲が全20曲と、そこまで長いエチュードではないので取り組みやすいかとは思います。
続編として、Op.132「20の小練習曲」があり、こちらに取り組む方も多いです。
フルートのエチュード~中級者編
ある程度の曲が吹けるようになってきたら、いよいよ中級者編のエチュードに挑戦していきます。
この時期はシンプルな曲を美しく吹けるよう、様々な曲想のメロディに触れる必要があります。
15のやさしい練習曲第1巻Op.33-1(ケーラー)
フルートの初級者から中級者にかけて行うエチュードとしては、最も有名な1冊で、フルート奏者必須の1冊です。
歌曲・行進曲・舞曲など、様々なスタイルの曲で構成されており、それぞれの曲の吹き方を学ぶことができます。
また歌心を求められる部分と、テクニック力が求められる部分の割合もちょうどよく、取り組みがいのあるエチュードです。
全3巻構成となっており、2巻も引き続き中級者向けのレベルとなっており、2巻までを必須とする指導者は多い印象です。
一方で3巻は難易度が一気に高くなり、上級者向けのエチュードですので、取り組むには強い覚悟が必要となります。
ケーラーは2巻までとし、他のエチュードに移る方も多いようです。
フルートのための20の旋律的練習曲Op.88(ガリボルディ)
この練習曲は、前述したガリボルディの「20の小練習曲」の続編として位置づけられています。
イタリアのロマンティックな美しいメロディの中に、主に装飾音符やトリルなどを学ぶための旋律が、数多く盛り込まれているのが特徴です。
装飾音符やトリルなどが含まれていても、メロディの美しさは損なわず、音楽的に不自然さが無いように演奏するよう心がけましょう。
「旋律的」とありますが、テクニックが求められる要素も多分にあります。
#は4つ、♭は5つまでの調性で、長調・短調どちらも学ぶことができます。
24の旋律的練習曲Op.37(ベーム)
ドイツの著名なフルート奏者、ベーム氏が書いたエチュードです。
(なお、ベーム氏は現代フルートの構造である「ベーム・システム」を考案者としても有名です。)
ベーム氏も数多くのエチュードや楽曲を書いている中、この「24の旋律的練習曲」は比較的難易度が低い作品とされています。
ですが、幅広い音域・トリル・音階・アルペジオなどが登場し、演奏するには中級レベルは必須とされます。
全24調の調性が登場するのも特徴の1つです。
24の練習曲Op.21(アンデルセン)
デンマークのフルート奏者・作曲家であるアンデルセンが書いたエチュードです。
全24調が登場し、ロマン派の変奏曲から近代音楽までの演奏技術を習得することができます。
オーソドックス・タイプの理想的な練習曲で、技術的にも音楽的にも調和のとれた美しい作品です。
なお続編として「24の練習曲Op.15」があります。
Op.15は技術力だけでなく、耐久力も求められるエチュードで、中級レベルのエチュードとしては最難関のエチュードとして位置づけられています。
フルートのエチュード~上級者編
いよいよ上級者向けのエチュードの紹介です。
いつかは協奏曲などの難曲を演奏してみたい、将来的には音楽大学で学びたい、またはそれに匹敵するくらいの技術を身につけたいと考えているフルート奏者必見の内容です。
24のカプリス(ベーム)
ベーム氏が作曲した中・上級者向けの優れたエチュードです。
数多くのエチュードを作曲しているベーム氏の代表曲とも言われています。
「カプリス(Caprice)」の表題の通り、各々に特徴ある音形、要素を駆使した旋律的で美しい練習曲です。
特徴としては、「低音重視」の技巧的な練習曲であるという点。
彼が開発した「ベーム・システム」のフルートの機能を十分発揮できるよう、作曲されたとされています。
フルートのための近代音楽エチュード(ジャンジャン)
フランスの作曲家であるジャンジャンが、フルートのために書いたエチュード。
20世紀は多様なスタイルの音楽が発表され、それに対応するため大戦後は、フランスを中心に多くの練習曲が作曲されました。
この「近代音楽エチュード」は、フルートでフランス近現代の曲を演奏するにあたり、学ぶのが必須となる基本練習曲という位置づけのエチュードです。
長音階・短音階に限らず、多様な音階や、多様な和音を用いていて、非常に難易度が高いエチュードとなっています。
各練習曲には、課題が明確に指示されており、練習の意図を読み取りやすく、奏者が取り組むべき課題に応じて、曲を選択していく使い方も可能です。
フルートのエチュード~番外編
最後に番外編として、フルート奏者が生涯かけて取り組むべきエチュードをご紹介します。
フルートを始めたての初心者には難しいと思いますが、中級者以上は必ず取り組んで欲しいエチュードとなります。
難易度設定が難しいため、番外編とさせていただきました。
ソノリテについて(モイーズ)
フランスのフルートの巨匠、マルセル・モイーズ氏が書いたエチュードです。
フルートに限らず、他の管楽器にも影響を与えたエチュードとなっています。
このエチュードで学ぶべきメインの内容は「音作り」です。
音作りはどれだけ上達しても、終わりがない、まさに一生涯かけて行う練習と言えるでしょう。
なお、ウォーミングアップとして、このエチュードを使うフルート奏者も多くいます。
エチュードで磨いた腕前をより上位モデルの楽器で披露してみませんか?

エチュードを使って自分の腕前を磨くことはもちろん大切ですが、よりグレードの高い楽器で演奏することによって、磨いた技術は映えるもの。
楽器のグレードを上げて、より充実した音楽ライフを送ってみませんか?
新品の楽器は手が出ない、という方であっても、「服部管楽器」であれば中古楽器も多数取り揃えています!
フルートを専門にしているスタッフが、あなたの楽器選びを1から丁寧にサポートします。
下のボタンから、ぜひお気軽にお問合せくださいね♪

