「クラシックサックスの名曲を知りたい」「演奏会での選曲に困っている」こんな疑問はありませんか?
そこでこの記事では、サックス歴20年以上の著者が定番のクラシックサックスの名曲を紹介。
この記事を読めば、クラシックサックスの定番と言える曲を知ることができます。
アルトサックスが中心となりますが、ソプラノ・テナー・バリトンを使った曲や4重奏の曲も紹介していきます。
ぜひ最後までお読みください。
サックスの歴史
曲を知る前に、クラシックのサックスについて学んでおくと、曲への理解が深まります。
アドルフ・サックスがサクソフォンを開発したのは、1840年代と言われています。(正式に特許を取得したのは1846年6月です。)
近年、開発された楽器ということもあり、音楽の教科書で紹介されるバッハやベートーヴェン、チャイコフスキーが生きていた時代にはそもそもサクソフォンが誕生していない、誕生していても広まっておらず知られていませんでした。
そのため、サクソフォンは1872年に作曲されたオーケストラ曲「アルルの女(ビゼー)」が最古典の部類に入るほど、クラシックの中では発展が遅れています。
19世紀に入っても「ボレロ(ラヴェル)」や「交響的舞曲(ラフマニノフ)」「展覧会の絵(ムソルグスキー・ラヴェル編曲)などサクソフォンが入ったオーケストラ曲は作曲されましたが、すでに完成されていたオーケストラ編成にサクソフォンが入るのは極めて稀でした。
一方、ソロのレパートリーは19世紀になると徐々に拡大していきます。
これはフランスのマルセル・ミュールとアメリカのシーグルト・ラッシャーという2人の名手が登場し、様々な作曲家に曲を委嘱し、初演を行なってきたからです。
これ以降も現代にわたって、数多くのサクソフォン奏者(日本の須川展也氏など)が積極的に曲を委嘱することで、今でも新曲が数多く生まれています。
クラシックサックスの名曲9選
それでは具体的な曲を紹介していきます。
オリジナルの主題による幻想曲(ドゥメルスマン)
フランスの作曲家、ジュール・ドゥメルスマンが書いたアルトサクソフォンとピアノのための作品です。
この曲は、サクソフォーンが登場した最初期の作品の中で最も有名であり、今でも重要なレパートリーとなっています。
流麗なメロディと超絶技巧のパッセージが魅力的な1曲となっています。
サクソフォンと弦楽オーケストラのための協奏曲(グラズノフ)
ロシアの作曲家であるアレクサンドル・グラズノフが書いたアルトサクソフォンと弦楽オーケストラのための作品。
サクソフォンの協奏曲は、非常に高難易度の楽曲が多くなっていますが、このグラズノフの協奏曲はロマン派のような構成で書かれており、比較的演奏しやすい協奏曲となっています。
協奏曲ですが、楽章には分かれておらず、単一楽章で曲が完結しています。
アルトサクソフォンの美しいサウンドを魅力的に引き出した1曲です。
なお、グラズノフは協奏曲以外にも、サクソフォン四重奏曲も書いており、こちらもサックス界にとって重要なレパートリーとなっています。

アルト・サクソフォーンと11の楽器のための室内協奏曲(イベール)
イベールはフランスの作曲家で、このサクソフォンと11の楽器のための室内協奏曲は、サクソフォン協奏曲の中で、最も有名な協奏曲となっています。
ただし、非常に難解な曲であるため、国際コンクールや音楽大学の卒業試験などで演奏されることが多いです。
数多くのフラジオ音域がオプションで書かれていますが、全て吹ききる演奏はかなり稀となっています。
原曲は多彩な管楽器を使うため、ピアノとアルトサクソフォンの版で演奏されることが多くあります。
イベールが書いたピアノ独奏組曲「物語」はアルトサクソフォーンとピアノのためにアレンジされた曲もあり、こちらも比較的有名な楽曲です。

サクソフォン・ソナタ(クレストン)
アメリカの作曲家、ポール・クレストンによって書かれたアルトサクソフォンとピアノのためのソナタです。
サクソフォンのために書かれたソナタは数多くありますが、このクレストンのソナタが最も有名で、演奏機会も多くなっています。
クレストンはこのソナタの他にも、サクソフォン協奏曲を書いており、こちらも有名な作品です。
特に第1楽章はソロコンテストでも多く演奏されており、人気の高い楽章です。
ファンタジー(ベダール)
カナダの作曲家、デニス・ベダールが書いたソプラノサックス、またはテナーサックスとピアノのための楽曲です。
ベダールはオルガンの作品が多いですが、数少ないB♭管サックスのソロのレパートリーとして重宝されています。
ちなみに著者はソプラノサックスでの演奏の方が、よりこの曲の魅力を引き出せると著者は考えています。
実際にソプラノサックスでの演奏の方が、テナーサックスと比較して多い印象です。
スタッカートが続くリズミカルなパッセージから始まり、中間部の物悲しいメロディ、最後は華やかな雰囲気で締めくくります。
パントマイム(スパーク)
吹奏楽で人気の作曲家、フィリップ・スパークが書いたユーフォニアムとピアノのための作品です。
ユーフォニアムの作品ですが、人気も高く、テナーサックスで演奏されることも多い楽曲。
難易度は非常に高いですが、テナーサックスのソロ曲は少ないため、重要なレパートリーとなっています。
穏やかなメロディから始まり、変拍子の楽しげなリズム、最後には超絶技巧のパッセージと続きます。
演奏会用独奏曲 作品93(サンジュレー)
サックスの最初期に活躍したサンジュレーの作品です。
サンジュレーは全てのサックスでのソロ曲、四重奏曲など、数多くのレパートリーを作曲しているサックス界では重要な作曲家です。
定番とは言えないかもしれませんが、バリトンサックスの特性を活かした、著者一押しの作品です。
バリトンサックスの力強い音色を使ったメロディと、技巧的なパッセージが魅力的な楽曲、バリトンサックス吹きは1度聴けば虜になるはず。
サクソフォン四重奏曲(デザンクロ)
フランスの作曲家、アルフレッド・デザンクロによって書かれたサクソフォン四重奏曲。
特に第3楽章は、サクソフォーン四重奏曲の中で、最も有名な1曲と言えるのではないでしょうか。
どのパートも技術的に非常に難しく、かつ掛け合いも複雑なため、演奏は非常に困難です。
なお、デザンクロは四重奏曲の他にアルトサクソフォーンとピアノのための作品「フレリュード、カデンツとフィナーレ」も非常に難解な作品として有名です。
彗星〜トルヴェールの惑星より(長生 淳)
日本の作曲家で、吹奏楽作品で人気の高い長生淳氏が書いたサクソフォン四重奏曲です。
今回紹介する曲の中では、比較的新しい作品ですが、すでに定番曲としての地位を確立しています。
彗星が入っている組曲「トルヴェールの惑星」は、ホルストの組曲「惑星」のオリジナル7曲をサクソフォン四重奏に編曲し、さらに「彗星」「地球」「冥王星」の新曲を加えた合計10曲で構成されています。
演奏難易度は高く、アンサンブルコンテストではよく演奏される楽曲です。

ジャズとの違い・クラシックとジャズの両立は可能?
クラシックとジャズの奏法は、「全く異なるもの」と考えてしまっても問題ないかもしれません。
同じサクソフォンという楽器を使いながらも、アンブシュアや息の使い方、アーティキュレーションなど、全てが異なります。
どのようなセッティングで演奏しても、クラシック・ジャズどちらも演奏することが可能です。セッティングよりも奏法がより重要になってきます。
しかし、奏法が違う以上、その奏法により適した楽器やマウスピースが存在します。
これがクラシック用・ジャズ用のセッティングが混在する理由です。
そもそもクラシックとジャズ、奏法が全く異なるため、両立することは可能です。
実際にクラシックもジャズも両方演奏しているプレイヤーを著者も知っています。
ただし、全く別のジャンルを学ぶことになるので、学ぶ時間は2倍程度かかる、という点は覚悟しておいた方が良いかもしれません。
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クラシックサックスの魅力は、何と言ってもその美しい音色です。
より良い音色を手に入れるため、楽器のグレードにはこだわりたいところ。
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