オーケストラにサックスがない理由&サックスがあるオーケストラ曲

「サックスはなぜ吹奏楽には使われるのにオーケストラでは使われないの?」「サックスが活躍するオーケストラ曲を知りたい」こんな疑問はありませんか?

実はサックスの歴史を知ると、これらの疑問が解消されます。

この記事では、サックス歴20年以上で、オーケストラのエキストラにも何度も乗っている著者が、サックスとオーケストラの関係について解説。

また、最近アマチュア団体が増加している「サックスオーケストラ」というジャンルについても紹介したいと思います。

この記事を読めば、サックスの歴史とオーケストラとの関係を学ぶことができます。

ぜひ最後までお読みください。

サックスがオーケストラにない理由

サックスは1840年代に誕生した、新しい楽器です。

一方で現在のオーケストラの基本形ができたのは、18世紀後半

バロック時代から古典派時代に活躍した、ハイドンやモーツァルトの時代には既にオーケストラの原型は完成していたことになります。

そこからロマン派に移る1850年ころ、ベートーヴェンの時代になると木管楽器が2本ずつの「二管編成」が標準化になりますが、そこにサックスが入ることはありませんでした。

19世紀中盤から後半、ロマン派時代においては楽器の改良や新しい楽器の登場により、編成が拡大し「三管編成」「四管編成」など、より大規模なオーケストラが一般的になりましたが、そこでもサックスが標準編成に入れません。

理由は、サックスの音量が大きいこと、木管楽器と金管楽器の間となる独特なサウンドであること、などなど諸説ありますが、多くのオーケストラの作曲家には求められていなかったということは間違いありません。

しかし、サックスがオーケストラで全く使われていないかと言われると、そんなことはありません。

オーケストラでの定席はありませんが、一部の曲ではサックスは大活躍をしています。

そんなサックスが使われたオーケストラの代表曲を、ここからは紹介していきます。

オーケストラとサックス

オーケストラとサックスの関係をここからは深掘りしていきます。

オーケストラでサックスが活躍する曲

オーケストラの中でサックスが活躍する代表曲は、次の曲があります。

アルルの女第1組曲・第2組曲(ビゼー)

フランスの作曲家、ビゼーのアルルの女第1・第2組曲では、ほぼ全ての曲でアルトサックスが使われています。

特に有名なのは第1組曲「序曲」のプレリュードでのソロ、劇の主人公であるフレデリの弟の知的障害を表すフレーズとして用いられています。

そして、第2組曲「間奏曲」のソロの旋律は、『神の子羊』という歌曲としても歌われた美しいメロディ。

最もサックスが活躍するオーケストラ曲の1つと言っても過言ではありません。

組曲「展覧会の絵」(ムソルグスキー/ラヴェル編曲)

ロシアの作曲家ムソルグスキーが書いたピアノ曲「展覧会の絵」を、フランスの作曲家ラヴェルがオーケストラにアレンジした楽曲です。

組曲の中の「古城」という曲の中でアルトサックスのソロが登場します。

哀愁を帯びたメロディーが特徴的で、1曲全て、ソロを担当します。

ボレロ(ラヴェル)

フランスのラヴェルが作曲したボレロ。

2種類の旋律を様々な楽器で繰り返すだけ、という特徴的な楽曲となっています。

ここではテナーサックスとソプラノサックスがそれぞれソロを担当します。(原曲ではF管ソプラニーノサックスも書かれていますが、現在はソプラノサックスで代替することがほとんどです。)

交響的舞曲(ラフマニノフ)

交響的舞曲はロシアの大作曲家セルゲイ=ラフマニノフの最後に書いた曲として知られる楽曲です。

第1楽章の中間部に、アルトサックスの1分ほどのソロが奏でられます。

ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュイン)

アメリカの作曲家、ジョージ・ガーシュインがピアノと管弦楽のために作曲した楽曲。

クラシックとシンフォニックジャズの融合を見事に表現しています。

サックスの長いソロはありませんが、3本のサックスが登場。

1stアルトサックス、2ndテナーサックス、3rdアルトサックスとビックバンドジャズと同じパート割になっています。

ハーリ・ヤーノシュ(コダーイ)

ハンガリーの作曲家コダーイによるオペラの楽曲。

第4楽章「戦争とナポレオンの敗北」でアルトサックスがソロ楽器として登場します。

ここでのサックスはナポレオン率いるフランス軍の象徴とされており、サックスを大量の楽器でかき消したり、サックスに葬送行進曲をやらせたりとフランス軍の敗北を意味しています。

剣の舞(ハチャトリアン)

ソ連の作曲家ハチャトリアンによるバレエ音楽「ガイーヌ」の最終幕で用いられる楽曲。

単一の楽曲として、BGMやアンコールピースとしても使用されており、知っている方も多いのではないでしょうか?

目立つ箇所はありませんが、この楽曲でも実はアルトサックスが使われています。

ロメオとジュリエット第2組曲(プロコフィエフ)

ソ連の作曲家、セルゲイ・プロコフィエフが書いたバレエ音楽です。

組曲の1曲目「モンターギュー家とキャピュレット家」と2曲目「少女ジュリエット」にテナーサックスのソロが登場します。

特に1曲目のソロは、低音ド#をpで始めなければならないという、サックス吹き泣かせの楽譜となっています。

キージェ中尉(プロコフィエフ)

ソ連の作曲家、セルゲイ・プロコフィエフが書いた管弦楽曲です。

テナーサックスが全楽章において登場し、第2・第3・第5楽章でソロを奏でます。

世界の創造(ミヨー)

サックスのソロ曲「スカラムーシュ」を書いた、フランスの作曲家ダリウス・ミヨーのバレエ音楽。

ジャズに感化された作品で、非常にアルトサックスが目立つ作品構成となっています。

サックスのオーケストラでの配置

では定席のないサックスはどこに配置されるのでしょうか。

こちらが通常のオーケストラの配置図です。

サックスが位置するのはクラリネットの下手側の隣です。

シングルリード楽器で同族ということから、クラリネットの近くに配置されることが多いようです。

オーケストラスタディで学ぼう

オーケストラスタディとは、オーケストラの楽曲から重要な箇所を抜き出して、演奏することで、オーケストラで使われている楽器の奏者はよく取り組む練習方法です。

オーケストラの楽曲は、数ある大作曲家が書いていることもあり、非常に勉強になることが多くあります。

著者も演奏した経験がありますが、オーケストラは非常にシビアな世界です。

楽譜だけを見れば、サックスのオリジナルの曲の方が難しいですが、オーケストラでは美しい音色やビブラート・違和感のないアタック・鳴りムラのないレガートなど、非常に高いレベルでの普通の演奏を求められます。

また相手が弦楽器であることも多く、シビアなpも要求されます。

ぜひ腕を磨くために練習してみてください!

パート譜のついたオーケストラの楽譜は非常に効果になりますが、ミニスコアであれば安価で購入することができます。

ここまで紹介してきた曲の中で、気になった曲があったらミニスコアを購入し、練習してみましょう。

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「サックスオーケストラ」というジャンル

近年ではアマチュアを中心に、「サックスオーケストラ」というジャンルが盛んになってきています。

サックスオーケストラとは、一般的にサックスだけの大編成で主にオーケストラの曲やポップスなどを演奏する団体を表します。

(もちろんサックスの入っていないオーケストラ曲も演奏されます。)

ソプラニーノからバスサックスまで使われるケースが多いです。

またサックスオーケストラの中には、打楽器を加えた編成のものや、オーケストラの管楽器パートは別で揃えて弦楽器のパートだけをサックスで演奏する団体もあります。

サックスは吹奏楽では人気があり、なかなか入れる団体が見つからないという悩みもサックスオーケストラであれば解消できます。

さらに演奏するオーケストラの曲は、長い音楽史の中で残ってきた名曲中の名曲です。このような曲に取り組める機会があるというのも魅力の1つです。

サックスオーケストラとはこのような響きがします。ぜひ体験してみてください。

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オーケストラの楽曲を奏でるには上質な音が必要です。上質な音を奏でる近道はやはりよりランクの高い楽器で演奏することも大切です。

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