「リードの管理方法がわからない」「新品のリードがすぐに使えなくなってしまう」このような悩みはありませんか?
実はリードの寿命を延ばせる方法は、明確に存在します。
この記事では、サックス歴20年で講師も務める著者が、自身も行ってきたリードの管理方法を惜しげもなく紹介します。
この記事を読めば、正しいリードの管理方法を知ることができ、リードの寿命を延ばすことが可能です。
ぜひ最後までお読みください。
リードを「育てる」とは?
サックスのリードは葦という木でできています。
サックスを吹くことで、この葦が湿る→乾くという過程が発生して、リードの状態が微妙に変化していきます。
結論を言うと、新品のリードを開けたすぐには、長時間吹かずに、徐々に吹く時間を長くしていくことで、リードは育っていくのです。
具体的には、開けたての新品リードは1分程度吹いて、リードケースなどの中に入れて、乾かすようにしましょう。
そこから「数分」→「十数分」→「数十分」→「1時間」→「数時間」と徐々に吹く時間を長くしていきます。
数時間吹けるようになって、ようやく計算できる、1人前のリードとして使えることができるようになるのです。
新品のリードのうちから長時間吹いてしまうと、「ズルズル」といったウォーターノイズが入ってしまいやすく、寿命も短くなってしまいます。
リードを育てるということは、長い期間がかかり、根気のいる作業だというのが実態です。
そして数時間吹けていたリードも、さらに湿る→乾くというサイクルを繰り返し、徐々に劣化していきます。
反応が悪くなったり、音量がでなくなったり、音色が汚くなってきたら、そのリードは寿命を迎えているので、交換のタイミングです。
リードの寿命は急に来ることもあるので、使えるリードは常に何枚かストックしておくことをおすすめします。
そして使えるリードが複数枚ある状態で、新しいリードを育てておきます。
前述した通り、新しいリードを育てるには時間がかかるので、余裕を持った状態で準備しておくのが適切なリード運営です。
そのため、サックスの練習時間の他に、「リードを育てる」という時間も確保しておくべきです。
良い音を出すには、良いリードを使うことが必須になります。
正しくリードを育てて、リードの悩みからは卒業できるようにしましょう。
具体的なリードの管理方法
ここからは、サックス歴20年以上の著者が行ってきた、具体的なリードの管理方法を紹介します。
1.リードは箱から全て出す
サックスのリードは10枚入りや5枚入りなど、複数いっぺんに発売されていることがほとんどです。
それらすべてを開封してしまいます。
明らかに使えないリードは育てても仕方がないですし、1度に複数のリードを吹くことでリードの個体差を知る訓練にもなるのが理由です。
そのため、もったいないといって、1枚1枚、別のタイミングで開封する方もいますが、それはおすすめしません。
2.1分だけ吹いて、開けた日付と硬さをリードにメモする
開けたリードを1分間だけ吹いて、開けた日付と硬さをリードの裏側(マウスピースと触れる面)の下側にメモします。
1分間しか吹かないのは、前述した通り、新品のリードのうちから長時間吹いてしまうと、「ズルズル」といったウォーターノイズが入ってしまいやすく、寿命も短くなってしまうからです。
硬さは著者の場合、「S(柔らかすぎ)」「SH(柔らかめ)」「HS(硬め)」「H(硬すぎ)」の4段階でメモするようにしていました。
- S…柔らかすぎて、音色が「ビャー」と開いてしまい、使い物にならないリード
- SH…反応が良く、音色もまとまっている本番候補のリード
- HS…少し反応が悪いが、湿らせていけば徐々に反応が良くなる可能性があるリード
- H…太い音は出るが、反応が悪く、削る候補になるリード
3.数分→十数分→数十分→…と徐々に吹く時間を長くしていく
前述した通り、リードを育てるには、徐々に吹く時間を伸ばしていくのが効果的です。
ポイントは気持ちよく吹けるようになったタイミングであっても、決められた時間が来たら吹くのを止めることです。
気持ちよく吹けていても、水分が入りすぎてしまうと、急にウォーターノイズが入ってしまうため、寿命がきてしまいます。
リードを育てるのは、慎重になりすぎてちょうどいいくらいです。
リードの状態を感じながら、吹く時間を決めていくのは、サックス奏者の腕の見せ所でもあります。
多くのリードを育てる経験を積んで、徐々に身についていく能力なので、根気よく行っていきましょう。
なお、このタイミングで2.で解説した硬さのランクを書き変えることもあります。
4.それでも硬いリードは削ってみる
数十分吹けるように育ってきたリードでも、まだ硬く、反応が悪いと感じるリード(「H」や「HS」のランクのもの)は、1度リードを削ってみます。
削る場所はフェイシング部分が多いです。ただし、先端付近だけはデリケートな箇所なので、削らないように注意してください。
フェイシングを削っても効果が得られない場合は、表皮を削った部分も削ります。

リードは1削りしただけでも、かなり状態が変わることがありますので、1削りしたら試し吹きする、という工程を繰り返していきます。
削るのは市販の紙やすりでも大丈夫ですが、著者は「リードギーク(REED GEEK)」というリードを削る専門の機材を使っています。
1度買えば一生涯使えるので、購入を検討してみてはいかがでしょうか?

リードを育てるには、ここまでの工程が必要で、毎日吹いたとしても、育てるだけで1~2週間程度かかります。
著者は毎月1箱のペースで、この工程を行ってきました。
箱から開けたリードが全て使えるわけでもなく、時間的にも費用的にも、コストが大変かかることになります。
それでも良い音を出すには、良いリードが必須なので、これもサックス奏者に課せられた1つの工程だと思い、根気強く取り組みましょう。
リードを育てるのが難しい・めんどくさいあなたへ
ここまで解説してきた通り、リードを育てるには、非常に時間と労力とコストがかかり、技術も必要になってきます。
この非常に手間がかかる作業を省略したい場合は、プラスチック(樹脂)のリードを使うことをおすすめします。
プラスチックリードは、葦のリードと違い水分を含まないため、リードを育てるという工程が必要なく、最初から何時間でも吹くことができます。
また葦のリードよりも寿命がかなり長い(傷をつけなければ数ヶ月は余裕で使える)というのもメリットです。
プラスチックリードに関する詳細は、こちらの記事で解説しているので、ご覧ください。
>サックスのおすすめプラスチックリードと使用上の注意点、メリット・デメリット
「プラスチックリードで良い音が出るの?」と心配になる方もいるかもれませんが、そこは心配いりません。
著者自身も今はプラスチックリードをコンクールやレコーディングなど大きな本番でも使用しています。(使用モデルは「レジェールリード・シグネチャーモデル」)
それに他のプロ奏者でも、プラスチックリードを愛用している方も多いです。
ただし、プラスチックリードを使用する際には、1点だけ大きな注意点があります。
それは「必ず選定をしたプラスチックリードを使用する」ということです。
プラスチックリードも、葦のリードと同様に個体差があり、ハズレのリードも存在します。
プラスチックリードは葦のリードに比べ、1枚当たりの単価が高いので、ハズレのリードを引いてしまうと非常にコスパが悪いです。
大きな楽器店で、同じ型番のリードを複数枚試奏して、良い個体を選びましょう。
選ぶ自信がない、近くにプラスチックリードを試奏できる楽器店がない場合は、WEBショップなどでプロが試奏した選定品を購入するようにしましょう。
リードの寿命の伸ばし方
最後に葦のリードでもプラスチックリードでも使える、リードの寿命の伸ばし方を解説します。
リードは本来、まっすぐな状態ですが、寿命が近づいてくると下の図のように、楕円の形になってきます。

この楕円になったリードを手でまっすぐに戻すと、リードの反応が元に戻ります。
簡単にできるリードの調整方法ですので、ぜひやってみてください。
リードだけじゃなく、楽器の持ち替えも検討してみませんか?

演奏を良くするためには、リードももちろん重要ですが、使っている楽器によっても大きく変わります。
今ある楽器を下取りに出して、新しい楽器を手に入れてみませんか?
「服部管楽器」では、サックスの高価買取を実施しているうえに、中古楽器も豊富に取り揃えているので、安価で楽器のランクアップを行うことができる環境となっています。
「服部管楽器」ではサックスを専門にしているスタッフが、あなたの楽器選びを1から丁寧にサポートします。
見積だけでも可能ですので、下のボタンから、ぜひお気軽にお問合せくださいね♪