「中古フルートを買いたいけど、失敗が怖い…」「予算内で良い楽器を見つけられるかな?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
フルートは他の管楽器に比べて、比較的安く手に入るため、部活でフルートを始めた方も、自分の楽器を購入したいと考える方も多いかと思います。
フルートを選ぶ際は、楽器の状態チェック、試奏、専門家への相談という3つのステップを踏めば、中古でも予算内で理想の一本に出会えるんです。
この記事では、高校生・中学生の方に向けて、中古フルートの選び方のポイントと、予算別のおすすめモデルを詳しく解説していきます。
初心者が知っておきたいフルートの基礎知識
フルートの歴史
フルートは管楽器の中で最も古い歴史を持つ楽器の一つです。
旧石器時代には動物の骨で作られた横笛が使われていましたが、現代のフルートの原型が登場したのは16世紀のルネッサンス時代からです。
当初、フルートという呼称は縦笛のリコーダーを指していましたが、横笛のフルートと区別するために「フラウトトラヴェルソ」と呼ばれていました。
現代のフルートの完成は、1847年にドイツの管楽器製作者テオバルト・ベームによってもたらされました。
ベームは画期的な金属製フルートをパリ万博で発表し、それまでの音程の不安定さや演奏の難しさを大幅に改善しました。
独学でも始められるフルートの基本
フルートの演奏で最も重要なのは、アンブシュア(唇の形)と呼吸法です。
アンブシュアは、上唇と下唇の隙間を安定させることが重要で、これにより美しい音色を生み出すことができます。
初心者は特にロングトーン(長く音を出し続ける)練習が効果的で、毎日10〜15分程度の基礎練習を続けることで着実に上達していきます。
しかし、小学校の音楽の授業などで使用するリコーダーのように、簡単に音が出るものではないので、コツを掴むまでは、難しいと感じる方が多いかもしれません。
独学でも始めることはできますが、最初のうちはレッスンに通った方が上達は早いと思います。
部活から始める方は、先輩にしっかり教えてもらうといいでしょう。
メンテナンスの基礎知識
フルートは演奏後の日常的なメンテナンスが非常に重要です。
基本的なお手入れとして、掃除棒とガーゼを使用して管内部の水分を除去し、クリーニングペーパーでタンポとトーンホールの間の水分を取り除きます。
また、楽器表面は専用のクロスで丁寧に拭き取り、指紋や汚れを除去します。
定期的なメンテナンスを怠ると、タンポの劣化や金属部分の錆びの原因となるため、演奏後は必ず手入れを行うことが大切です。
中古フルートを選ぶメリット・デメリット
中古フルートは、楽器購入を検討する際の重要な選択肢の一つとなっています。
新品と比較しながら、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
中古フルートのメリット
中古フルートの最大の魅力は、予算を抑えながら質の良い楽器を手に入れられる点です。
同じ予算でも、新品では手が届かない高品質なモデルを選択できる可能性が広がります。
さらに注目すべき点として、新品では既に生産終了している名器が選択肢に入ることが挙げられます。
世界的に評価の高いルイ・ロットのような歴史的な名器と出会える可能性もあるのです。
中古フルートのデメリット
一方で、中古フルートには慎重に検討すべき点もあります。
使用感や傷、汚れが存在する可能性が高く、場合によっては修理やメンテナンスが必要となることがあります。
特に重要な注意点として、フルートは約10年で大規模なメンテナンス(オーバーホール)が必要となります。
このオーバーホールには数万円から十数万円の費用がかかるため、購入時の価格に加えてメンテナンス費用も考慮する必要があります。
しかし、楽器専門店では既にメンテナンス済みの中古フルートが販売されている場合も多いので、購入前に確認するようにしましょう。
新品と中古の価格を比較
新品フルートは安定した品質と演奏感が保証され、メーカー保証も付いているという利点があります。
しかし、その分価格は中古品と比べて明らかに高くなります。
中古フルートの場合、同じグレードの楽器であれば新品の半額程度で購入できることも珍しくありません。
予算別!おすすめ中古フルート5選
5万円以下のおすすめモデル
この価格帯では、初心者向けの入門モデルが中心となります。
特におすすめなのがムラマツのM-85で、55,000円程度で購入できる機会があります。
洋銀製のボディで、初心者でも音が出しやすい設計になっており、メンテナンス性も考慮されています。
5-10万円のおすすめモデル
この価格帯の定番モデルはヤマハYFL-212です。
約9万円で購入でき、カバードキイとEメカニズムを標準装備しているため、初心者でも安定した演奏が可能です。
また、パールのPF-505Eも約7万円で購入でき、少ない息でも音が出しやすく、クリアな音色が特徴となっています。
10-15万円のおすすめモデル
この価格帯では、頭部管が銀製のモデルが選択可能となります。
パールPF-665Eは豊かな音色と安定した演奏性を備え、長期的な使用に適しています。
また、アルタスA907は爽快な吹き心地と、遠くまで響く明るいサウンドが特徴で、多くの学生に支持されています。
15万円以上のハイエンドモデル
この価格帯では、プロフェッショナル仕様に近い楽器を選ぶことができます。
ミヤザワのcoSmo 1は、ハンドメイドモデルと同じソルダードトーンホールを採用し、音の立ち上がりが明確で、速いパッセージでも音をしっかりとコントロールできます。
また、サンキョウのシルバーソニックは、明るく華やかな音色の中にふくよかな響きを持ち、管体だけでなくキイの支えとなる部分まで銀製を採用しています。
中学生・高校生のための中古フルート選び
部活動での使用に適した機種
部活動での使用に最適な中古フルートとして、ヤマハYFL-212シリーズが特におすすめです。
このモデルは洋銀製で軽量かつ耐久性があり、長時間の練習にも適しています。
カバードキイを採用しており、指の位置が多少ずれても安定した音が出せるため、部活動での演奏に安心して使用できます。
また、パールのプレストシリーズも部活動での使用に適しています。
特にEメカニズムが標準装備されているモデルは、高音域も安定して演奏できるため、アンサンブルやソロ演奏の両方で活躍できます。
成長に合わせた楽器選び
楽器選びでは、演奏技術の向上に合わせてステップアップすることが重要です。
初期段階では銀メッキ製のフルートから始め、技術が向上してきたら頭部管のみ銀製のモデルへの移行を検討するのが一般的です。
中学生から高校生にかけては、演奏技術の成長が著しい時期です。
この時期には、まず銀メッキ製の楽器で基礎を固め、その後銀製フルートへステップアップすることで、より豊かな音色と表現力を獲得できます。
使用しなくなった楽器も無駄になるわけではなく、使用しなくなった楽器は買取に出して、それを元手にまた新しい中古フルートを購入することで、どんどんステップアップすることができます。
グレードの高いモデルも、中古フルートを探すことで、新品では数十万するモデルも格安で手に入ることがあります。
フルートの種類:金属による音色の違い
銀製フルートと金製フルートの違い
銀製フルートは、重厚で深く柔らかい音色が特徴的で、フルートの代名詞とも言える存在です。
音色の変化をつけやすく、フォルテからピアノまでコントロールがしやすいという特徴があります。
一般的に使用される銀は、スターリングシルバーと呼ばれる銀含有率92.5%のものです。
一方、金製フルートは、しっとりとした音色の中に輝きを持ち、空間全体に音が響き渡る特徴があります。
金の純度によって9K、14K、18K、24Kなどがあり、純度が高くなるほど比重が増して、より豊かな響きが得られます。
プレーティング(メッキ)の種類と特徴
金メッキは、見た目の華やかさだけでなく、音色にも煌びやかさを加えます。
銀の持つどっしりとした深みのある音に華やかさが加わることで、音の芯がくっきりとしたバランスの良い音色を生み出します。
プラチナメッキは、艶やかで少しダークな色合いが特徴で、立ち上がりが非常に良く透き通った音色を持ちます。
銀メッキより抵抗感は強くなりますが、吹き始めの音からパリッと鳴るため、心地よい吹奏感があります。
各金属の特性と音色への影響
白銅は最も軽い金属で、初心者でも音が出しやすい特徴がありますが、音の深みには物足りなさがあります。
洋銀(銅、亜鉛、ニッケルの合金)は、高音域から低音域まで明るく軽やかな音色を持ち、バランスの良い響きが特徴です。
プラチナは、フルートに使われる材質の中で最も密度が高く、ダイナミックスレンジが広いのが特徴です。
音の透明感、明瞭さ、音の伸び、密度の高い音質を持ち、これらの特性がそのままフルートの音色に反映されます。
中古フルートの選び方:失敗しない3つのステップ
ステップ1:基本スペックを確認する
中古フルートを選ぶ際、まず確認すべきは楽器の基本的な仕様です。
フルートの素材は音色に大きく影響し、総銀メッキ製は明るい音色で初心者でも音が出しやすい特徴があります。
また、Eメカニズムやカバードキイといった基本機能が搭載されているかも重要なチェックポイントとなります。
ステップ2:実際に楽器を試奏する
試奏では、まず全ての音域で音が安定して出せるかを確認します。
特に低音域と高音域の音の出やすさに注意を払い、音色の好みも重要な判断基準となります。
中古フルートは前任者のクセがついている可能性があるため、同じモデルでも吹きやすさが異なることがあります。
キーの操作感や楽器全体のバランス、重さも確認し、長時間演奏しても快適に使えるかを判断しましょう。
ステップ3:専門家に相談する
最後に、楽器店のリペア担当者に相談することが重要です。
専門家の意見を聞くことで、楽器の状態を正確に把握できます。
前任者の使用状況や保管状態によって楽器の寿命や性能に大きな影響があるため、プロの目で見た評価は購入の判断材料として非常に重要です。
また、新品価格との比較も忘れずに行い、一般的に新品の30%〜50%程度安い価格が相場となっています。
最後に
まだ楽器に慣れてない状態で、楽器を購入することはとても勇気のいることだと思います。
特に1番最初に使う楽器は、今後の成長を左右する大切な選択ですので、ぜひ専門家に相談して、ベストな楽器を選んでくださいね。
また、使用していた楽器のグレードアップの際や、もう使用しなくなってしまった楽器は、買取もできますので、お気軽に服部管楽器までお問い合わせください♪