「タンギングがうまくできない…」「舌の使い方がわからない」「練習しても音が汚くなってしまう」そう悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実は、サックスのタンギングは正しい基礎知識と段階的な練習方法を知っているだけで、驚くほど上達できるんです。
初心者の方でも、舌の位置や発音の基本を理解すれば、クリアな音色を出せるようになります。
この記事では、効果的なタンギング練習法を5つのステップで解説します。
また、よくある失敗例とその改善方法も含めて、基礎から応用まで丁寧に説明していくので、ぜひ最後までご覧ください。
サックスのタンギング練習の基礎知識
サックスはリードを震わせて音を出すので、音を出している最中に舌でリードに触れることで音を区切る演奏の技法のことを、タンギングといいます。
これは、リードの振動を一時的に止めることで、音を明確に区切ったり、フレーズに抑揚をつけたりする重要な技法です。
初心者の方にとって最初は難しく感じる場合もありますが、基本を理解すれば必ず習得できます。
タンギングはいつするの?
タンギングを使用するタイミングは主に三つあります。
まず、音の出だしの時、次に同じ音を連続して演奏する時、そして音程幅が広い時です。
特に同じ音を連続で演奏する際には、タンギングによって音を区切ることで、より明確なメロディラインを表現することができます。
アクセントをつけたい箇所でも効果的に使用できます。
正しい舌の位置と使い方
舌の位置については、多くの人が誤解している部分があります。
必ずしもリードの先端に舌先を当てる必要はありません。
人それぞれ口の中の形状や舌の大きさは違うので、人によって最適な位置が異なります。
一般的には、舌の先端でリードに触れる方法と、舌の先端から1センチほど奥でリードに触れる方法の2種類があります。
重要なのは、舌を前後に小さく動かし、上下の動きを最小限に抑えることです。
基本的な発音方法
タンギングの基本的な発音は、「トゥ」や「タ」と言うような感覚で行います。
ただし、発音自体よりも重要なのは、舌の動かし方です。
タンギングする際は、息で音を区切るのではなく、息を止めずに継続して吹き続けながら、リードに舌を当てて音を区切ります。
また、舌でリードを強く叩きすぎないよう注意が必要で、リードの振動を止めるのに必要な最小限の力で触れることを心がけましょう。
これにより、クリアで美しい音色を保ちながら、効果的なタンギングを行うことができます。
タンギング練習の5つのステップ
次にタンギングの練習を5つのステップに分けて、解説していきます。
ステップ1:基本的な舌の動きを習得する
まずは楽器を使わずに、舌の基本的な動きを習得することから始めましょう。
鏡の前で「トゥ」「タ」という発音を繰り返し、舌の動きを観察します。
この際、喉や顎が動かないように注意しながら、舌は前後にのみ動かし、上下の動きは最小限に抑えることが重要です。
理想的な舌の位置と当て方
リードに触れる際の理想的な位置は、リードの先端から3-5ミリ程度下がった部分です。
舌先でリードを優しく触れるイメージで、強く押しつけないようにします。
力の入れすぎは音質の劣化や疲労の原因となるため、できるだけ柔らかく自然な動きを心がけましょう。
ステップ2:シングルタンギングの練習
シングルタンギングとは、舌を使って音を区切る最も基本的な奏法です。
実際に楽器を使って、ロングトーンから始めます。
まずは一音を長く伸ばし、その音の中でタンギングを行います。
このとき、息の流れを途切れさせないことが大事です。
アンブシュアを維持したまま、4分音符を基準に、一定の間隔でタンギングを行う練習から始め、徐々に8分音符、16分音符へと発展させていきましょう。
ステップ3:音階を使った練習方法
音階練習は、タンギングの基礎を固める上で非常に効果的です。
最初はゆっくりとしたテンポで長音階を演奏し、各音に対して確実にタンギングができるよう心がけます。
特に音程が変わる際のタンギングの正確さに注意を払いましょう。
慣れてきたら、様々な音階パターンを試してみましょう。
ステップ4:テンポを変えての練習
メトロノームを使用して、様々なテンポでの練習を行います。
始めは♩=60程度のゆっくりとしたテンポから開始し、確実にタンギングができるようになってから徐々にテンポを上げていきます。
このとき、しっかり音が出なかったり、タンギングが不明確になったりする場合は、一度テンポを下げて基本に立ち返ることが大切です。
ステップ5:実践的なフレーズでの練習
最後に、実際の楽曲で使用されるようなフレーズでの練習に移ります。
シンプルなメロディーラインから始めて、徐々に複雑なフレーズへと発展させていきましょう。
スタッカートやアクセントなど、様々な音楽記号がついたフレーズでの練習が効果的です。
この段階では、音楽的な表現を意識しながら、タンギングの強弱やニュアンスにも注目して練習を進めていきましょう。
タンギングがうまくできない時の解決方法
タンギングがうまくできない主な原因は、舌の使い方と息の流れにあります。
まず、舌の動きを必要最小限に抑え、舌はリードに対して前後の動きのみを意識し、上下の動きは極力避けましょう。
息は常に一定の流れを保ち、タンギング時も途切れさせないことが大切です。
タンギングが強すぎる場合の改善法
タンギングが強すぎる場合、音が汚くなりやすく、スピーディーな演奏が難しくなります。
改善するためには、リードに触れる舌の面積を最小限にすることです。
舌の先端でリードに軽く触れる程度で十分で、リードの振動を完全に止めようとする必要はありません。
また、アンブシュア・唇の形を固定し、舌のみを軽く動かすことで、強すぎるタンギングを防ぐことができます。
雑音の原因と対処方法
タンギング時の雑音は、舌がリードに当たる面積が大きすぎたり、アンブシュアが乱れたりしていることが原因になってしまっていることが多いです。
雑音をなくすには、舌とリードが「面と面」ではなく「点と点」で接するように意識することが大事です。
リードの先端、1点を目指して舌をつけることで、余計な雑音を防ぐことができるでしょう。
顎や喉の動きを抑える方法
タンギング時に顎や喉が動いてしまうのは、音程が不安定になる原因となります。
この問題を解決するには、まず喉をリラックスさせ、あくびをするときのように喉を広げた状態を保ちます。
また、顎の力を抜き、マウスピースを噛みすぎないよう注意することで、自然なタンギングが可能になります。
舌の痛みへの対処法
長時間の練習で舌に痛みが生じる場合は、まず練習時間を適切に管理することが大切です。
また、舌に必要以上の力を入れすぎていないか確認しましょう。
タンギングは力任せではなく、リラックスした状態で行うことが重要です。
休憩を適切にとり、舌の疲労が蓄積しないよう注意を払いましょう。
必要に応じて練習時間を短く区切り、徐々に延ばしていく方法も効果的です。
タンギングの応用テクニック
タンギング練習は集中力を要するため、効率的な時間配分が重要です。
特に初心者の場合、一度に長時間練習するよりも、短時間でも毎日継続することで着実な上達が期待できます。
タンギングの基本的な練習から始めて、徐々に複雑なフレーズへと発展させていくようにしましょう。
基本的なシングルタンギングが上手にできるようになったら、応用テクニックの練習に移りましょう。
ダブルタンギングの基礎
ダブルタンギングは、より速いテンポでの演奏を可能にする高度なテクニックです。
基本的な発音は「トゥクトゥク」または「ドゥグドゥグ」を使用します。
この技法の特徴は、舌の先端と奥の部分を交互に使用することで、通常のシングルタンギングよりも速い演奏が可能になることです。
舌の動きを理解することが重要で、「トゥ(ドゥ)」の音は舌の先端でリードに触れ、「ク(グ)」の音は舌の奥でリードに触れます。
この2点での接触により、より効率的な舌の動きが実現できます。
初めは遅いテンポから始め、徐々にスピードを上げていくことで、安定したダブルタンギングを習得できます。
スピードが速い演奏のためのコツ
スピードが速い演奏を成功させるためには、まず基本的なタンギングの質を高めることが重要です。
舌の動きは必要最小限に抑え、リードの先端一点のみを狙って触れることを意識します。
また、タンギング時の息の流れを一定に保つことで、より安定した高速演奏が可能になります。
練習する際は、メトロノームを使用して段階的にテンポを上げていくことが効果的です。
♩=80から始めて、確実に演奏できるようになってから4ずつテンポを上げていきます。
ただし、音質を犠牲にしてまでスピードを追求するのは避け、常にクリアな音色を維持することを心がけましょう。
吹奏楽での活用法
吹奏楽での演奏では、様々なタンギング技法を場面に応じて使い分けることが重要です。
特に合奏時は、他のパートとの音のバランスやアンサンブルを考慮しながらタンギングを行う必要があります。
音楽的な表現を重視する場合は、タンギングの強さやスピードを曲調に合わせて調整することが大切です。
特に強弱の付け方や音の切り方は、曲想を表現する上で重要な要素となります。
また、練習時は個人練習でしっかりとタンギングの基礎を固め、合奏では周りの音をよく聴きながら演奏することを心がけましょう。
最後に
タンギングは初心者にとっては、最初難しく感じることが多いと思います。
正しいタンギングはどういうものなのか、しっかり練習して習得するようにしてくださいね。
壁にぶち当たってしまった時は、プロのレッスンを受けることも上達の近道です。
オンラインレッスンも可能ですのでぜひチェックしてみてください♪