「フラジオが思ったように出せない」と悩んでいませんか?
実はフラジオには、出しやすい運指と、通常奏法にはないフラジオ独特の演奏方法があります。
この記事では、吹奏楽CD30枚以上のレコーディング経験のある著者が、アルトサックス・テナーサックスでフラジオが出しやすい運指と、フラジオを出すコツについて解説しています。
この記事を読むことで、あなたもきっと憧れのフラジオ奏法を身につけることができるようになります。ぜひ最後までお読みください。
【前提】サックスのキー名称について
こちらのサイト(外部リンク)では、サックスのキー名称について紹介しています。
これから紹介するフラジオの運指も、このサイトで書かれたキー名称を使って解説していきます。
サックスのキー名称は、覚えておくと今後のサックスの技術向上に役立ちます。理由は次の通りです。
- サックスの解説本や解説記事は、キー名称が分かっている前提で書かれていることが多い
- サックスの調整に出すとき、リペアマンの方と意思の疎通をとりやすい
紹介したサイトでは、キー名称の語源も書かれていますので、これを機にキー名称を覚えてしまってはいかがでしょうか?
アルトサックスのフラジオ運指

アルトサックスのフラジオ運指を紹介します。
著者の使用楽器は、セルマー SERIEⅡです。
使用楽器によっても、フラジオ運指は若干の違いが生じることもありますので、これから紹介する運指をもとに、自分なりに研究してみてください。
ソ(実音B♭)
①オクターブ・1・3・4・6•Ta
②オクターブ・1・4•Ta・C5
③オクターブ・フロントF・4・Ta
①→②→③の順で当てやすくなります。
③は他のフロントFキーを使う音と繋ぎやすいです。
ソ#(実音H)
①オクターブ・1・2・3・4・Tc・Ta
②オクターブ・1・3・4・Tc
③オクターブ・フロントF・Ta
①・②は比較的当てやすいです。
③は当てにくいですが、他のフロントFキーを使う音と繋ぐときに使います。
ソ#は当てるのが難しいです。次に紹介するラの音の方が当てやすくなります。
ラ(実音C)
①オクターブ・2・3・4・5・6
②オクターブ・2・3(・Ta)
③オクターブ・2・3・4・Tc・Ta
④オクターブ・フロントF・4・Tc・Ta
比較的フラジオの中でも当てやすい音です。
著者は①をよく使います。③はフラジオのソ#と繋ぎやすいです。
ラ#(実音Cis)
①オクターブ・C1・2・3・4・5・6
②オクターブ・3・4・Tc・Ta
③オクターブ・2・3・4・5
どの指でも同じくらいの当てやすさです。
前後の運指でフラジオの指を決めましょう。
シ(実音D)
①オクターブ・C1・3
②オクターブ・C1・Tc・Ta
G#キー、4番キーなどを足しても当たるようになるかもしれません。研究してみてください。
ド(実音E♭)
①オクターブ・C1・C2・3・4(・Tc・Ta)
②オクターブ・1・4・5
③オクターブ・1・3・4・6
当てるのが非常に難しい音です。
サイドキーを使う音と繋ぐかそうでないかで、運指を決めます。
テナーサックスのフラジオ運指

テナーサックスのフラジオ運指を紹介します。
著者の使用楽器は、セルマー SERIEⅡです。
アルトサックス同様、使用楽器によっても、フラジオ運指は若干の違いが生じることもありますので、これから紹介する運指をもとに、自分なりに研究してみてください。
ソ(実音F)
①オクターブ・1・Ta・C5
②オクターブ・フロントF・Ta
比較的当てにくい音です。
他の音のフラジオを当てられるようになってから、チャレンジしても良いかもしれません。
筆者は①の運指をメインで使っています。
ソ#(実音Fis)
①オクターブ・2・3・4•Ta
②オクターブ・2・3・6
③オクターブ・1・3・4・Tc・Ta
④オクターブ・1・2・3・6・Tc・Ta
著者は①が当てやすく、多く使っています。
ラ(実音G)
①オクターブ・2・3・Tc
②オクターブ・2・3・4・5
③オクターブ・3・4・Ta
著者は①を多く使用しています。
②は①番キー、6番キー、E♭キー、Tcキーを押すことで出しやすくなることがあります。研究してみてください。
ラ#(実音Gis)
①オクターブ・C1・2・3・4・5
②オクターブ・1・2・4・5・E♭
①→②の順で当てやすいです。
①は1番キー、6番キーを押すと当てやすくなるかもしれません。
シ(実音A)
①オクターブ・C1・C2・2・3・4・5
②オクターブ・C2・2・3・Tc・Ta
どちらも同程度の当てやすさなので、前後の運指によって使う指を決めてください。
ド(実音B♭)
①オクターブ・1・3・4・6・E♭
②オクターブ・1・2・4・C3
どちらも同程度の当てやすさですが、②は4番キーを中指、または薬指で押さえなければならないため、運指の難易度が高いです。
フラジオとは
フラジオ奏法は、正しい運指で吹けば音が鳴る、といった単純なものではありません。ここからはフラジオ奏法について理解を深めましょう。
私たちが演奏しているサックスの音は、基音(実際に聴こえている音)と倍音(ある音を鳴らしたときに自然発生する高い音)の2つが鳴っています。
フラジオ奏法は、基音よりも高く鳴っている倍音を強調して、聴こえるように演奏してあげる奏法を指します。
基音ではなく、倍音を鳴らすという点が、通常奏法とは大きく異なるポイントです。
フラジオの出し方・コツ
基音ではなく、倍音を出すための演奏方法をここでは紹介します。
息の量を少なくする
フラジオは大きな音が鳴っているように聴こえるため、息をたくさん入れようとして演奏する人がいますが、実は息の量はほとんど使いません。
少ない息をフラジオが当たるツボに入れることで、フラジオを鳴らすことができます。
フラジオが当たるツボはものすごく小さいです。その小さいツボに当てるために細くまとまった息を使います。
息の方向を上向きにする
フラジオが当たるツボは、通常の音が鳴るツボとは異なります。
第2オクターブキーからリガチャーのネジのあたりにフラジオが当たるツボがあることが多いです。
下顎(あご)をわずかに前に出し、上方向に息を出すようにコントロールしてみましょう。
使っている楽器やセッティングによっても、フラジオが当たるツボの場所は異なりますので、研究してみてください。
口の中を狭くする
前述した通り、フラジオが当たるツボに息を当てるため、細い息が必要になります。
そして細い息を出すには、口の中を狭くする必要があります。
口の中を狭くするには、舌の位置が重要です。舌を上顎に近づけるようにして、アンブシュアを作りましょう。
個人的には「KU(ク)」という発音に近いと感じています。
サックスのフラジオ練習
フラジオの練習には、オーバートーンを行うのが効果的です。
オーバートーンの一般的な練習方法は、最低音のシ♭の運指のまま倍音を出すことです。
倍音は、真ん中のシ♭→真ん中のファ→高音シ♭→パームキーのレ→パームキーのファの音が出ます。
アンブシュアや息の方向を変えることで、これらの倍音を出せるようにコントロールします。
倍音を自在に出せるようになれば、フラジオの習得も近いです。
マイ楽器を手に入れてフラジオの研究をしよう!

楽器によって、フラジオの運指やフラジオが当たるツボは微妙に違います。
借り物の楽器では、楽器が変わったときに、せっかく身につけたフラジオも出なくなってしまう可能性があります。
マイ楽器を手に入れて、腰を据えてフラジオ研究に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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