「クラリネットってたくさん種類があるけど、どれを選べばいいんだろう?」「初心者だからよくわからないな…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
クラリネットを選ぶ際は、演奏目的、音色の特徴、価格帯の3つのポイントを押さえることで、自分に最適な楽器が見つかるんです。
この記事では、クラリネットの基本的な種類から、メーカー別の特徴、初心者におすすめのモデルまで詳しく解説していきます。
クラリネットの主な種類と特徴
クラリネットは、グラナディラやローズウッドなどの硬質な木材で作られた木管楽器で、マウスピースに「リード」と呼ばれる葦でできた薄い板を「リガチャー」という留め具で固定し、息を吹き込んでリードを振動させることで音を出します。
また、クラリネットは4オクターブ弱という広大な音域を持ち、全管楽器中最も広い音域を誇ります。
低音域は暖かく包み込むような豊かで柔らかい響きを持ち、中音域は明快で美しく華やかな音色を特徴とします。
最高音域では甲高く鋭い音色となり、合奏での存在感を放ちます。
この多彩な音色により、メロディから伴奏まで幅広い役割をこなすことができます。
次に使用される頻度の高いクラリネット4種類についてご紹介します。
E♭クラリネット
通称エスクラと呼ばれるE♭管のクラリネットは、クラリネットファミリーの中で最も高音が出る楽器です。
B♭クラリネットより4度高い音域を持ち、その小柄なサイズと特徴的な音色で、吹奏楽やオーケストラで重要な役割を果たしています。
全長は約50センチメートルと、B♭クラリネットと比べてコンパクトなサイズです。
吹奏楽やオーケストラでは持ち替え楽器として使用されることが多く、高音域を必要とする場面で活躍します。
B♭クラリネット
最も一般的なクラリネットで、ソロ、オーケストラ、吹奏楽など、あらゆる場面で活躍します。
広い音域と優れた表現力を持ち、特に中音域では深みのある透明感を持った響きを生み出します。
吹奏楽において、楽曲のメインメロディーを担当し、通常1st、2nd、3rdの3つのパートに分かれて演奏します。
また、クラリネットは音が大きく出にくく、ベルが下向きになるため、他のパートよりも多くの人数で編成されています。
オーケストラでいうバイオリンのような役割です。
Aクラリネット
B♭管と比べてやや暗く深い音色と柔らかな響きが特徴です。
モーツァルトの協奏曲などの古典作品でよく使用され、指使いはB♭管と同じですが、サイズがやや大きいのが特徴です。
オーケストラでは必須の楽器として使用されており、特に古典派やロマン派の作品で重要な役割を果たしています。
Aクラリネットを指定して書かれた楽曲が数多く存在し、特にクラシック音楽の分野では重要な存在となっています。
バスクラリネット
バスクラリネットは、クラリネットファミリーの中で低音域を担当する楽器です。
B♭クラリネットより1オクターブ低い音域を持ち、その独特な音色と存在感で、現代の管弦楽や吹奏楽において重要な位置を占めています。
深みのある豊かな低音が特徴で、柔らかさと力強さを併せ持つ音色を持っています。
通常のクラリネットと同様にB♭管が主流で、最低音のE音から高音域まで、約3オクターブ半の広い音域をカバーします。
全長は約1.5メートルと大きく、金属製のネックとベルを持ちます。
演奏時は専用のサポートスタンドを使用し、座って演奏するのが一般的です。
リードやマウスピースは通常のクラリネットより大きく、より多くの空気量が必要となります。
クラリネットのメーカー別の特徴
ビュッフェ・クランポンの特徴
1825年にフランス・パリで創業したビュッフェ・クランポンは、世界を代表する管楽器メーカーとして知られています。
表現の幅が広く、独特の伝統的な音色を持つことが最大の特徴です。
特に低音域での鳴りの良さと自由度の高さは他社の追随を許さず、声が音につながるような独特の吹き心地を実現しています。
R13シリーズに代表される製品群は、音色がホールの隅々まで響き、奏者の様々な要求に対応できる柔軟性を備えています。
ヤマハの特徴
日本が誇る総合楽器メーカーとして、安定した音程と吹きやすさが特徴的です。
音が合わせやすい特性から、学校の吹奏楽部でも多く使用されています。
特筆すべきは品質の安定性で、奏者のコンディションに左右されにくく、音ムラが少ないという特徴があります。
SEシリーズとCSシリーズという2つの個性的なラインナップを持ち、SEシリーズはまろやかで豊かな音色、CSシリーズは輝きのあるクリアな響きが特徴です。
セルマーの特徴
フランスの伝統あるメーカーであるセルマーは、下管の深みのあるダークな響きが特徴的です。
芯のある豊潤な響きを持ち、世界のトッププロにも愛用されています。
他メーカーと比較すると奏者は少ないものの、独特の音色を求める演奏家から高い支持を得ています。
価格帯は比較的高めに設定されており、プロフェッショナル向けの製品が中心となっています。
その他の主要メーカー
バックーンは新しい技術を積極的に取り入れ、カーボンファイバーを使用したジョイント部分や独自の音程補正システムなど、革新的な設計で注目を集めています。
シュヴェンク&ゼッゲルケは、ドイツの伝統的な製法を守りながら、高度な技術と職人技で知られています。
これらのメーカーは、それぞれ独自の音色や特徴を持ち、演奏者の好みや演奏スタイルに応じて選択肢を提供しています。
初心者におすすめのクラリネット
クラリネット選びでは、演奏目的と予算に応じて最適なモデルを選択することが重要です。
初心者の場合、まずは扱いやすさを重視し、プラスチック製のエントリーモデルから始めることをおすすめします。
中級者以上になれば、木製管体の楽器を選ぶことで、より豊かな音色と表現力を得ることができます。
特に吹奏楽部での使用を考えている場合は、ヤマハの明るく安定した音色か、クランポンの優美で柔らかい音色のどちらかを選ぶのが一般的です。
予算別のおすすめモデルを見ていきましょう。
10万円以下のエントリーモデル
初心者向けの入門機として、ヤマハのYCL-255がおすすめです。
約10万円という手頃な価格ながら、合成樹脂製の管体で扱いやすく、屋外での演奏やマーチングにも適しています。
熱や湿気に強く、様々なシーンで安定した演奏を楽しめる特徴があります。
少ない息でも音が出しやすく、リングレス設計により軽い吹奏感を実現しています。
10-20万円の中級モデル
この価格帯でのおすすめは、ヤマハYCL-450が約17万円で、初心者から中級者まで幅広く対応できる優れたモデルです。
木製管体を採用し、高音から低音まで良い響きを実現しています。
また、クランポンのE11Sは約15万円で、上位機種E13の付属セットを標準装備した特別モデルとして注目を集めています。
20万円以上の本格モデル
本格的な演奏を目指す方には、ヤマハYCL-650がおすすめです。
しっかりとした音が鳴り、息の入りやすさが特徴です。
より上級者向けには、クランポンのR13モデルが人気で、明るい音色とバランスの良さを備え、長期的な演奏技術の向上にも対応できます。
クラリネット購入前に確認すべきポイント
演奏目的による選び方
クラリネットを選ぶ際は、まず使用目的を明確にすることが重要です。
吹奏楽部での使用を考えている場合、学校によって指定のメーカーやモデルが存在することがあります。
特にコンクール上位入賞校では、ヤマハのカスタムモデルやクランポンのR13が指定される場合もあるため、顧問の先生に事前に確認することをおすすめします。
また、野球応援やパレード、マーチングなど屋外での演奏が多い場合は、天然木材の管体は温度差で割れる可能性があるため、プラスチック製の管体を選択することも検討すべきです。
試奏のポイント
楽器選びで最も重要なのは、実際に楽器を試奏することです。
試奏時には、まず低音がしっかりと豊かに鳴るかを確認します。
次に、解放のGの音を吹いて鳴りが適切か、そして下から上まで半音階を吹いて音が均一に出るかを確認します。
初心者の場合は、管楽器専門店のスタッフや講師に同行してもらい、アドバイスを受けることをおすすめします。
音色の好みは人によって異なるため、直感的な吹きやすさ、好みの音色、低音や高音の鳴らしやすさなどを総合的に判断しましょう。
価格帯の考え方
クラリネットの価格帯は、初心者向けの10万円前後から、上級者向けの50万円以上まで幅広く存在します。
購入を検討する際は、演奏期間や将来の目標を考慮することが大切です。
一般的な購入タイミングは、中学・高校でのマイ楽器購入時(約15万円以上)、高校進学時やコンクール参加時(約20-30万円以上)、社会人での楽団加入時(約30万円以上)などです。
予算に余裕がある場合は、初めから良質な楽器を購入して長期的に使用することで、結果的にコストを抑えられる場合もあります。
ただし、必ずしも高価な楽器が最適とは限らず、演奏者の技術レベルや目的に合わせて選択することが重要です。
使わなくなった楽器は買取に出すことも可能なため、初心者で購入する際は初心者向けのものを購入し、技術の向上に合わせて楽器を買取に出し、新しい楽器を購入するなどのステップアップをおすすめします。
クラリネットのメンテナンスと付属品
必要な付属品
クラリネットを適切に維持管理するために、いくつかの重要な付属品が必要です。
まず最も重要なのがスワブで、管内の水分を拭き取るために必須のアイテムです。
次にマウスピースキャップは、デリケートなリードを保護する役割があり、休憩時や移動時には必ず装着しましょう。
コルクグリスは楽器の組み立て時に必要で、無理な力をかけずにパーツを接続できるようにします。
キーオイルは月に1回程度の使用で、キーの動きをスムーズにし、さびを防ぐ効果があります。
基本的なお手入れ方法
演奏後のお手入れは楽器の寿命を左右する重要な作業です。
まず、リガチャー、リード、マウスピースを取り外し、マウスピースは丁寧に拭きます。
次にバレル上部から3〜4回スワブを通して、管内の水分を完全に拭き取ります。
接合部の水分は特に注意が必要で、ガーゼやティッシュで丁寧に拭き取ります。
トーンホールやパッドに水滴が残っている場合は、吸い取り紙で優しく水分を除去します。
最後に管体とキー表面を柔らかいクロスで拭き、指紋や汚れを取り除きます。
リードの選び方と管理
リードは演奏の質を大きく左右する重要なパーツです。
初心者の場合は、バンドーレンの青箱3番から始めるのが一般的です。
リードの寿命は約2〜3週間程度で、3枚程度を常にローテーションして使用することで、安定した演奏が可能になります。
リードの保管には専用のリードケースを使用し、やや乾燥気味の場所に平らな状態で保管することが重要です。
表面が白っぽくなったり、先端が波打ったり、欠けが生じた場合は、すぐに新しいものと交換する必要があります。
また、リードの上部には直接触れないよう注意し、使用していない時は必ずキャップを装着しましょう。
木管とプラスチック管の違い
素材による音色の違い
木管クラリネットは、グラナディラという特殊な硬質木材で作られており、柔らかく豊かな音色が特徴です。
この素材から生まれる温かみのある響きは、クラリネット本来の音色として多くの演奏家に好まれています。
一方、プラスチック管(ABS樹脂)は木管特有の柔らかい音色を完全に再現することは難しいものの、安定した音色を提供します。
メンテナンス性・価格の違い
プラスチック管は温度や湿度の環境変化に強く、扱いやすいという大きな利点があります。
特に屋外での演奏や気温の変化が激しい環境での使用に適しています。
対して木管は湿度・温度に敏感で、環境変化により音程が変化しやすい特徴があります。
夏場は音程が上がりやすく、冬場は温まりにくいため、より慎重な温度管理が必要となります。
価格面では、プラスチック製のエントリーモデルは10万円未満で入手可能です。
一方、木製の場合は10万円から20万円程度が一般的な価格帯となり、グラナディラ製の特性を活かした本格的な音色を楽しむことができます。
最後に
クラリネットは、吹奏楽においてメインの楽器となり、とても大事な役割を果たします。
種類や価格帯も幅広いため、選ぶのが難しいと思いますが、用途やこれからの目標に合わせて、最適なクラリネットを探してみてくださいね。
クラリネット選びに迷った時は、ぜひ専門家にご相談ください!