「サックスを始めたいけど、どんな楽器を選べばいいのかわからない…」「初心者なのに高額な買い物で失敗したくない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
サックスの選び方には明確な基準があり、初心者でも5つのポイントを押さえれば失敗することはありません。
メーカーや価格帯によって特徴が異なりますが、自分に合った楽器を見つけることは十分可能です。
この記事では、初心者の方向けにサックスの選び方の基本から、おすすめのメーカー、購入時のチェックポイントまで、具体的な例を交えながら詳しく解説していきます。
新品・中古楽器の選び方やリード、リガチャーの選定方法についても触れていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
ポイント①サックスの種類と初心者向けの選び方
サックスには主にソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4種類があり、音域が高いものから順に並んでいます。
その他にも種類はありますが、通常吹奏楽などで使われているのはこの4種類です。
これらの中から適切な種類を選ぶことが、演奏を楽しむための第一歩となります。
アルトサックスとテナーサックスの違い
アルトサックスは中高音域が特徴で、クラシックやフュージョンなど幅広いジャンルで活躍する万能な楽器です。
テレビなどでよく見かけるサックスは、アルトサックスが多いかと思います。
一方、テナーサックスは中低音が特徴で、特にジャズでよく使用されます。
テナーサックスは音程のコントロールは比較的容易ですが、アルトサックスと比べて息の圧力や肺活量が必要となります。
初心者が最初に選ぶべきサックス
初心者には圧倒的にアルトサックスがおすすめです。
その理由は、扱いやすさと音域の広さにあります。
アルトサックスは他のサックスと比べて取り扱いが容易で、幅広いジャンルの曲に対応できます。
また、J-POPの楽譜もアルトサックス用が多く出版されており、演奏したい曲を見つけやすいという利点もあります。
予算の目安と価格帯による違い
サックスの価格帯は2〜3万円の入門機から200万円以上の高級機まで幅広く存在します。
初心者向けの一般的な相場は10万円程度ですが、5〜6万円の入門機から始める方も多くいます。
特におすすめなのは、ヤマハのYAS-280で、価格は約15万円です。
このモデルは吹きやすさ、音程の安定性、音の鳴りやすさのバランスが優れており、初心者の練習用として十分な性能を備えています。
価格が上がるにつれて、材質の違いや製造方法(大量生産かハンドメイドか)による音色や耐久性の違いが出てきます。
ポイント②おすすめのサックスメーカーと特徴
サックス界を代表する3大メーカーには、それぞれ独自の特徴があります。
初心者が選びやすいように、各メーカーの特徴と代表的なモデルを詳しく解説していきます。
ヤマハの特徴と代表モデル
ヤマハは世界最大の総合楽器メーカーとして、優れた品質管理と手頃な価格帯が特徴です。
初心者向けのYAS-280から、プロ仕様のYAS-875EXまで、幅広いラインナップを揃えています。
特に人気の高いYAS-62は1978年から生産が続く伝統モデルで、安定した音程と操作性の良さで定評があります。
また、全国各地にサービス網があり、アフターケアが充実している点も大きな魅力となっています。
ヤナギサワの特徴と代表モデル
東京・板橋区で製造される純日本製のヤナギサワは、職人による丁寧な手作りと高い品質管理が特徴です。
A-WO1とA-WO10を基本モデルとし、管体に真鍮やブロンズなど異なる素材を使用することで、それぞれ特徴的な音色を実現しています。
特にブロンズモデルは豊かな響きと優れた音の伸びを持ち、コンサートホールでの演奏に適しています。
セルマーの特徴と代表モデル
フランスの老舗メーカー・セルマーは、サックスの元祖として世界中で尊敬を集めています。
2010年以降のジュビリーモデルでは、伝統的な音色の深さを保ちながら、現代的な吹きやすさも実現しました。
シリーズ2は丸みのある音色、シリーズ3はフラジオ音域の安定性に優れるなど、それぞれ特徴的な個性を持っています。
その他のメーカーと特徴
クランポンやカイルヴェルト、ポールモーリアなど、その他のメーカーも独自の特徴を持っています。
ただし、修理やパーツの入手のしやすさを考えると、初心者の方は前述の3大メーカーから選ぶことをお勧めします。
特に日本国内では、ヤマハ、ヤナギサワ、セルマーの3社が圧倒的なシェアを誇っており、安心して購入できる実績があります。
ポイント③新品と中古サックスの選び方の違い
サックスを購入する際、新品と中古では大きな価格差があり、多くの初心者が選択に迷います。
それぞれの特徴を理解し、自分に合った選択をすることが重要です。
新品サックス購入のメリット・デメリット
新品サックスの最大のメリットは、誰も使用していない状態から自分の音色を作り上げられることです。
また、メーカー保証が付いており、定期的なメンテナンスを行えば故障のリスクも低く抑えられます。
特に初心者にとって重要な「正しいアンブシュアと息づかい」の習得がしやすいという利点もあります。
一方でデメリットは、中古と比べて価格が高めになることです。
また、ジャズ演奏などで求められる独特のサウンドを出すには時間がかかる場合があります。
中古サックス購入時の注意点とメリット
中古サックスを検討する際は、パッドの状態をチェックする必要があります。
パッドは経年劣化する部品で、交換には1つあたり数千円かかり、全交換では10万円以上の費用が発生する可能性があります。
また、本体の凹みや修理痕の有無も価格や演奏性に大きく影響するため、慎重に確認が必要です。
しかし、中古サックスは今まで吹き込まれているだけあって、音色のコントロールがよく、様々な表現がしやすいというメリットがあります。
中古の管楽器を取り扱う専門店で購入すると、すでにメンテナンスがされている場合が多いので、購入する際は、メンテナンス済みなのかどうかを確認するといいでしょう。
信頼できる販売店の選び方
実店舗での購入が最も安全です。
楽器を実際に手に取って試奏でき、専門スタッフからアドバイスを受けられるためです。
オンラインショップを利用する場合は、購入前に電話やメールで複数回やり取りを行い、店舗の対応や信頼性を確認することが重要です。
また、プロのサックス奏者の選定品を購入すると、より安心です。
特に初心者の場合は、何が良くて、何が良くないのかの違いが難しいので、専門店で購入することをおすすめします。
ポイント④リードとリガチャーの正しい選び方
リードの硬さと選び方
リードは音を発生させる重要なパーツで、その硬さは数字で表されています。
数字が小さいほど柔らかく、大きいほど硬くなります。
初心者には2.5番あたりが推奨されており、これらは少ない息でも音が出しやすい特徴があります。
リードは自然素材のため個体差が大きく、1箱10枚の中で使いやすいものは2〜3枚程度となります。
そのため、初めは複数の硬さのリードを購入して、自分に合ったものを見つけてみるといいでしょう。
リガチャーの種類と特徴
リガチャーは主に順締めと逆締めの2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
順締めは初心者に推奨され、装着が簡単という利点がありますが、リードとの間に隙間がないため響きが抑えられます。
一方、逆締めはリードの固定面積が少なく、隙間があることで音が響きやすくなります。
素材も重要で、金属製は明るい音色に、皮革製はまろやかで柔らかな音色になる傾向があります。
初心者向けのおすすめ組み合わせ
初心者には、ヤマハ4Cマウスピースにバンドレン・ジャバ2.5番のリードという組み合わせが最適です。
リガチャーは、マウスピースに付属の順締めタイプを使用することで、安定した音が出せます。
この組み合わせは音が出しやすく、コントロールもしやすいため、基本的な演奏技術の習得に適しています。
また、クラシック志向の場合は、セルマーS80 C☆マウスピースにバンドレン・トラディショナル2.5番という組み合わせも推奨されています。
最初は購入したサックスに付属されているもので、十分練習が可能です。
慣れてきたら徐々に、いろんなパーツを試してみるようにしましょう。
ポイント⑤サックス購入後のメンテナンス方法
日常的なお手入れの方法
演奏後のお手入れは、サックスの寿命を左右する重要な作業です。
まず、管内部の水分を除去するために、専用のクリーニングスワブを使用します。
マウスピースは取り外して、ぬるま湯で洗い、完全に乾かしてから保管します。
また、キイ部分は柔らかい布で軽く拭き、指紋や汗を残さないようにします。
これらの作業は毎回の演奏後に必ず行うことで、楽器の状態を良好に保つことができます。
お手入れ方法は、初心者向けのテキストや、YouTubeなどにも動画が上がっているので、参考にしてみるといいでしょう。
定期的なメンテナンスのポイント
3ヶ月に一度は、キイオイルの補充を行う必要があります。
キイの動きが重くなったり、異音が出始めたりした場合は、早めにオイルを差すことをお勧めします。
また、年に一度は専門店での点検を受けることが望ましく、特にパッドの状態やキイの調整を重点的にチェックしてもらいます。
パッドは使用頻度や環境によって劣化速度が異なりますが、定期的な点検により交換時期を適切に判断できます。
さらに、保管時は必ずケースに入れ、温度や湿度の変化が少ない場所で保管することで、楽器の寿命を延ばすことができます。
トラブル時の対処法
最も多い問題は、キイが動かなくなることです。
この場合、無理に動かそうとせず、まずはキイオイルを適量差してみましょう。
それでも改善しない場合は、専門店での修理が必要です。
また、音が出にくくなった場合は、パッドの劣化や歪みが考えられます。
応急処置として、パッドの表面を専用のパウダーで整えることもできますが、根本的な解決には専門家による調整が必要です。
水分が入り込んでしまった場合は、すぐにクリーニングペーパーで水分を吸い取り、完全に乾燥させることが重要です。
これらのトラブルを予防するためにも、日々のメンテナンスを怠らないことが大切です。
最後に
サックスは正しく使用して、メンテナンスを続ければ、何十年も使用することができる楽器です。
最初からいいものを購入して長く使用する方、最初は入門機の比較的安価なものから徐々にステップアップする方など、いろんな方がいらっしゃいます。
使用用途によってもおすすめの機種というのは変わってきますので、ぜひ専門店で相談してみてくださいね。
また、少しでも経験がある方は、実店舗での試奏もおすすめです!
各モデルの違いを実感することができるので、試してみてくださいね!