「クラリネットで納得のいく音色を出すことができない」「手軽に音色を変えてみたいが何かいい方法はないか?」このようなお悩みはありませんか?
実はクラリネットはバレルを変えるだけで、全く違う音色や吹奏感を手に入れることができます。
そこでこの記事では、吹奏楽CDのレコーディング30枚以上に携わった著者が、クラリネットのバレルを変えることで感じる変化とおすすめのバレルについて詳しく解説していきます。
この記事を読めば、あなたが知らないバレルに関する知識を知ることができ、バレル選びの参考になること間違いなしです。
ぜひ最後までお読みください。
クラリネットのバレルとは?
そもそもクラリネットの「バレル」とは何か、分からない方のために簡単に解説しておきます。
バレルはマウスピースと上管をつなぐ、いわゆる「樽」と言われている部分のことです。(樽を英訳すると「バレル(barrel)」となります。)
下の図を参考にしてみてください。

バレルの1番大きな役割は「チューニング」です。
もしバレルと上管に分かれておらず、一体になってしまっている場合、マウスピースを抜いてチューニングすることになります。
そうするとマウスピースが少し浮いたような状態となってしまい、グラグラと不安定になり、演奏に支障が出てしまいます。
なお、バレルを使ったチューニングの方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひお読みください。
>クラリネットのピッチ・音程の合わせ方・チューニングの方法~ピッチが低いとき・高いときの対処法を徹底解説
バレルを変えると何が変わる?
バレルを変えると、音色やピッチ、吹奏感が大きく変わります。
変わり方は良い方向にいくこともあれば、悪い方向に感じることもある点については注意しておいてください。
バレルを変えることによる変化は、バレルに近い音(特に上管の上の方の音など)ほど、変化が大きくなります。
反対に全てのキーを押さえたチューニングのときの「ド」や「シ」の音は離れすぎていてあまり影響を受けません。
バレルの長さとピッチ
理想を言えば、バレルは抜かずに使用する方が良い音がします。
メーカーの設計上も、抜かないことを前提に制作していますし、バレルを抜くとバレルと上管の間に空間ができてしまい、管内の容積が変わってしまうからです。
メーカーは約62~67mmくらいのバレルを用意していますので、自分の音程感に合わせてサイズを選ぶと良いでしょう。
例えば音程が低くなってしまう方は、短いバレルをチョイスすると音程が合いやすくなります。(口・アンブシュアで調整するのには限界があるので…)
バレルの内径
内径については、太くなるにつれて下の倍音が上がって、上の倍音が下がります。
理論上、音程は変わらないのですが、倍音の幅が変わってきます。
ただし、これらはあくまで傾向でしかありません。
同じモデルのバレルを使っていても、木のどの部分を使っているかなどによって、バレル1本1本の音程感は変わってくることに注意してください。
バレルを変えずに音色を変えるには
バレル以外を変えても、クラリネットの音色などは変化します。
音色を変えるためには、バレルの他に仕掛け(マウスピース・リード・リガチャー)を変えるのも1つの手です。
仕掛けに関しては、それぞれ詳しく解説している記事がありますので、そちらを参考にしてみてください。
>【クラリネット】バンドレンのマウスピース7本を徹底比較~5RVライヤー/M30/M30ライヤー/B40/B40ライヤー/BD5/BD4
>【クラリネットのリード比較】おすすめのリードはこれだ!~バンドレン・ダダリオ・リコ・レジェール
>クラリネットのおすすめリガチャー9個の特徴を徹底解説~シルバースタイン/ウッドストーン/ロブナー/ブルズアイ他
おすすめのバレル
実際に発売されているバレルの特徴を解説していきます。
ビュッフェ・クランポン ICON

個別販売されているバレルの中で、最も人気が高いのがこのビュッフェ・クランポンの「ICON(アイコン)」というモデルで、クラリネットの巨匠であるミシェル・アリニョン氏の監修モデルとなっています。
金属のリング部分が細身になっていることから、軽やかな吹奏感で、発音もしやすいバレルです。
とはいえ音色は荒れることなく、柔らかい音色を出すことができます。
金属のリング部分は
- シルバー
- ピンクゴールド
- ブラックニッケル
の3種類に分かれており、それぞれ音色の特徴が異なります。
「シルバー」はまとまり・落ち着きのある響きに、「ピンクゴールド」はきらびやかで輝かしい音色に、「ブラックニッケル」はダークで太い音色にそれぞれ変化します。
楽器本体を作っている大手メーカーであるビュッフェ・クランポンが提供していることもあり、大きく個性的なバレルではなくとも、確実に良い音色に導いてくれる感覚。
初めてのバレル交換にはうってつけです。特にクランポンの楽器を使っている方には強くおすすめできます。
バックーン(Backun)
バックーンのバレルはカナダで製作されており、上質な木材を使用して作られています。
バックーン社は元々は小さな木管修理工房だったのですが、バンクーバー交響楽団首席クラリネット奏者ウェス・フォスター氏から「新作のバレルを作ってほしい」という依頼を受けると、それが大評判となり、2011年には楽器の製作もすることになりました。
音色の特徴はバックーンが持つ独特の柔らかさです。高音域も繊細な音色で演奏できます。
柔らかい音色が好みの奏者は、バックーンのバレルに交換を検討してみても良いかもしれません。
バックーンのバレルは、ココボロとグラナディラの2種類の素材から選ぶことができます。
ココボロは、あたたかく、しっかりとした音を出せるのが特徴で、グラナディアには表面に染料が使用されておらず、オーソドックスな音を求めている方におススメのバレルです。
また4種類の特徴の違うバレルを発売しています。
- Lumière
- MoBa Barrel
- Backun Barrel
- New Traditional Barrel
「Lumière」モデルは2018年に発売された、バックーンバレルの最新モデルとなります。
pp~ffまで均一な音色で出すことができる点と、甘美なサウンドが特徴です。
「MoBa Barrel」は豊かで重厚なサウンドを出すことができます。
抵抗感をしっかり感じやすく、アーティキュレーションがつけやすいのが特徴です。
「Backun Barrel」はあえてリングを取り付けていないバレルです。
そのことで奏者の音楽表現をダイレクトに伝えることができます。
「New Traditional Barrel」は、反対に両端にリングを持つことで、優れたレスポンスと均一なアーティキュレーションを実現しています。
バレル選びの注意点
おすすめバレルを紹介してきました。
価格帯でも比較してほしいため、あえて販売ページを掲載しましたが、可能であれば楽器店で選定して選ぶようにしましょう。
なぜならバレルは同じモデルであっても、個体差が大きくあるからです。
私の経験上、バレルの選定で守ってほしい1つのルールがあります。
それは「良い音を出そうとしないこと」です。
そのバレルで良い音を出そうとすれば、良い音が出るかもしれません。
でもそれは奏法を道具に合わせてしまってることに他なりません。
自分の吹き方を貫いて、良い音がするバレルを探すようにしてみましょう。
自分に合ったバレルをより上級モデルの楽器で吹こう!

自分に合うバレルで演奏することでより良い音を手に入れることができますが、やはりグレードの高い楽器で演奏した方がさらに良い音が奏でられるもの。
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