「クラリネットのピッチをチューナーぴったりに合わせることができない」「他のメンバーとピッチを合わせるためのコツを知りたい」このような悩みはありませんか?
実はクラリネットのピッチ・音程を合わせるには、明確な方法があります。
そこでこの記事では、吹奏楽CDのレコーディング30枚以上に携わった著者が、クラリネットのピッチを良くするための奏法・コツを詳しく解説していきます。
この記事を読めば、あなたのクラリネットに関するピッチの悩みが解消していくはずです。
ぜひ最後までお読みください。
クラリネットのチューニング方法
クラリネットのピッチを正しく合わせるには、正しくチューニングを行うことが大前提です。
そこでまずはクラリネットのチューニング方法について解説していきます。
チューニングの音
オーケストラであれば実音「A(シ)」、吹奏楽であれば実音「B♭(ド)」の音でチューニングを行います。
この際、アンブシュアを使ってピッチは変えず、自然な奏法でチューニングするようのが基本の形です。
自然な奏法で吹いてピッチが合わない際は、管を抜き差しして音程を合わせます。
アンブシュアを使ってピッチを合わせる音は、チューニング音以外の音です。
チューニングで抜くべき場所
クラリネットは管を抜くことで、ピッチを下げることができます。
管を抜くことで、全体の管の長さが長くなることが、ピッチが下がる理由です。
B♭クラリネットよりも管の長いバスクラリネットの方が、音程が低くなると考えればわかりやすいですね。
クラリネットの構造は以下のようになっています。

クラリネットのピッチを合わせるために抜く箇所は4か所あります。それぞれの特徴を解説していきます。
マウスピース~バレルの間
口元の接続がグラグラと不安定になるため、抜くことはあまりおすすめしません。
バレル~上管の間
抜くとピッチが下がるため、チューニングのためにメインで抜くのはこのバレルと上管の間となります。
ただし全てのピッチが平等に下がるわけではなく、スロート音域(開放のソ~シ♭)あたりのピッチが影響を受けやすい(=大きく下がりやすい)ので注意が必要です。
抜きすぎてしまうと全体のピッチバランスが悪くなることもあるので、気をつけましょう。
上管~下管の間
抜いてピッチが変わる箇所ではあります。
しかし、少しでも横に接続がずれてしまうと、音の出方に影響が出てしまう箇所でもあります。
そのためプロのクラリネット奏者であっても、抜くか抜かないかは奏者によって異なるところです。
初心者は抜かない方が無難ではある箇所となります。
下管~ベルの間
抜いても少ししかピッチが変わらないので、抜くことは少ないです。
どうしてもピッチが下がりきらないときの最終手段として抜くようにしましょう。
どの管も抜き過ぎには注意
接続が不安定になるため、どの管であってもコルクが見えるほど抜いてしまうのは良くありません。
また全ての音程が平等に下がるわけではないため、抜きすぎると全体の音程バランスが悪くなってしまいます。
ピッチを合わせやすいチューニングのテクニック
チューニングの目的は、全ての音でピッチを合わせることです。
また使う楽器によってピッチの癖は異なります。
自分の楽器に合ったチューニング方法を身につけておくようにしましょう。
特に楽器の癖が出やすい音は、「開放のソの音」と「その上のラの音」です。
基準の音に合わせつつ、この2つの音がバランスよく音程が取れるように管を抜きましょう。
スロート音域が高くなりやすい人はバレル~上管の間を、低くなりやすい人は下管~ベルの間をそれぞれ抜くと、全体的にバランスの取れたピッチとなりやすいです。
ピッチ・音程の合わせ方
チューニングを行った後のピッチの合わせ方について、具体的な方法を解説していきます。
ピッチが高くなってしまう
クラリネットは長時間吹いていると、管が温まりピッチが高くなりがちです。
いくらチューニングをしてもピッチが下がらないという悩みをかかえている方も多いのではないでしょうか?
そこで一旦見直してほしいのが「アンブシュア」です。
マウスピースを噛み過ぎてはいませんか?
マウスピースを噛み過ぎてしまうと、音程が上がるだけでなく、響きが止まってしまうなどのデメリットも多くあります。
クラリネットの正しいアンブシュアについてはこちらの記事で解説しています。ぜひお読みください。
>【初心者向け】クラリネットのアンブシュアの作り方とコツを徹底解説!&よくある悩みに回答
ピッチが低くなってしまう
ピッチが過度に下がってしまう主な原因は「アンブシュア」と「息のスピード」です。
低くなる場合、アンブシュアの中でも口の中の状態・舌の位置を気にするようにしてみてください。
舌が下がり、口の中が広いとピッチは低くなりがちです。
つまり、舌を持ち上げ、口の中を狭くするとピッチはあがります。
口角を上げることによっても、舌が上がり、口の中を狭くすることができます。
また特に高音域では、息のスピードが下がってしまうとピッチが下がってしまいやすいです。
腹式呼吸を意識して、息のスピードを上げるように演奏してみましょう。
チューナーとの向き合い方
チューナーを使うのは基本的にチューニングや個人練習のときだけです。
普段からロングトーンなどで自分のピッチの癖を知っておくのは有効です。
しかし、他の人と音合わせをするときは、チューナーではなく耳を使って音程を合わせます。
よく吹奏楽部で合奏のときにまでチューナーを使う方がいますが、それはやめましょう。
人と耳を使ってピッチを合わせる経験・練習をしていくことで、次第にピッチを合わせられる耳が育っていきます。
まずはピッチが合ってないことで生じる音のうねりが分かるようになることが第一歩です。
ピッチが合っていないと分かったら、まずは勘でも良いのでピッチを上げるか下げるかしてみましょう。
これを繰り返し行っていくことで、徐々にピッチが高いか低いかが分かるようになってきます。
最初からチューナーを使ってしまうと、ピッチが高いか低いかを自分で判断できるようにはなりません。
また高い低いと考えすぎるのではなく、相手と同じピッチを出そうと意識することで、ピッチが合うこともあります。
ピッチの傾向・聴こえ方
プロのクラリネット奏者を含め、世の中に絶対音感を持つ人は少なく、相対音感でピッチを感じる人がほとんどです。
そのため相対音感の人が、どのようにピッチを感じているのかを知ることは有益です。
絶対音感を持つ方にとっては、全ての音がチューナーの真ん中にこないと、ピッチが悪いと感じるかもしれませんが、数多くの相対音感の方はそういう聴き方は基本的にはしません。
では相対音感の方はどのようにピッチを聴いているのかというと、「他のピッチとの比較」をして聴いています。
他のピッチとは具体的には、「直前に吹いた音」や「同時に鳴っている音」を指します。
そして原則、ピッチの幅を広くした方が心地よく聴こえやすいです。(長和音の第3音や導音など、楽典的にルールがある音は除く)
ピッチの幅を広くとはどんな状況かと言うと、例えばクラリネットのソロで「ド」から「ソ」に上がったとします。
その際に「ド」が低いか、「ソ」が高い(もしくはその両方)の場合は、ピッチの幅が広くなり、ピッチがチューナーからずれていたとしても、不快な音色に聴こえません。
逆に「ド」が高かったり、「ソ」が低かったりすると、少しのずれであっても音痴に聴こえてしまいます。
このような傾向を知っておくだけでも、ピッチを取るのが楽になりますね。
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ここまで解説してきた奏法で良いピッチを出すことはできますが、やはりグレードの高い楽器で演奏した方がさらに良いピッチが出しやすいもの。
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