「クラリネットのソロコンの楽譜を探しているけど、どれを演奏していいか分からない」「中学生・高校生でも演奏できる、おすすめの楽曲を知りたい。」このような悩みはありませんか?
先に結論です。中学生の本命は「ソロ・ド・コンクール(メサジェ)」と「コンチェルティーノ(ウェーバー)」、高校生で入賞を狙うなら「ソロ・ド・コンクール(ラボー)」「序奏とロンド(ヴィドール)」「クラリネットソナタ(サン=サーンス)」、全国大会や音大受験を見据えるなら「アンダンテとアレグロ(ショーソン)」「プレミエ・ラプソディー(ドビュッシー)」が定番です。
ただし、曲の難易度だけで選ぶと失敗します。ソロコンの選曲は「制限時間」「ピアノ伴奏者」「技術の壁」の3つの条件から逆算するのがコツです。全日本中学生・高校生管打楽器ソロコンテストは演奏時間4分以内という規定があり、ウェーバーのコンチェルティーノもサン=サーンスも、そのままでは収まりません。
この記事では、吹奏楽CDのレコーディング30枚以上に携わった著者が、20曲を「目安時間・伴奏の負担・ダブルタンギングの有無・4分ルールとの相性」で整理し、学年別におすすめを解説します。千葉県のソロコンテストで実際に演奏された曲のデータ(2016〜2021年・クラリネット36件)も参照しています。

まず結論:学年・目的別の本命曲
| 目的 | 本命 | 次の候補 |
|---|---|---|
| 中学生ではじめてのソロコン | ソロ・ド・コンクール(メサジェ) | コンチェルティーノ(ウェーバー)/カンツォネッタ(ピエルネ)/クラリネット・ポルカ |
| 高校生で入賞を狙う | ソロ・ド・コンクール(ラボー) | 序奏とロンド(ヴィドール)/クラリネットソナタ(サン=サーンス)/幻想小曲集(シューマン) |
| 全国大会・音大受験レベル | アンダンテとアレグロ(ショーソン) | プレミエ・ラプソディー(ドビュッシー)/協奏曲 第1番(ウェーバー)/ソナタ(プーランク) |
| ピアノ伴奏者がいない | 3つの小品(ストラヴィンスキー) | エチュード(ローズ・ジャンジャン) |
それぞれの曲の特徴は後半で1曲ずつ解説します。その前に、選曲で外せない3つの条件を確認しておきましょう。
選曲は3つの条件から逆算する
条件1:制限時間(全国大会は4分以内)
全日本中学生・高校生管打楽器ソロコンテスト(主催:日本吹奏楽指導者協会)は、演奏時間4分以内と定められています。4分を超えた場合は演奏を中断されますが、減点はありません。とはいえ、最後まで聴いてもらえないのは大きな損ですから、4分に収める前提で曲とカットを決めます。
一方で、県や市のコンテストは8〜9分まで認めるところもあり、超過を失格にする大会もあります。主催者によって規定がまったく違うので、候補曲を決める前に、出場する大会の実施要項を先に読むのが鉄則です。
条件2:ピアノ伴奏者がいるか、伴奏の難しさに耐えられるか
クラリネットの名曲はドイツ・フランスのロマン派から近代にかけての作品が中心で、ピアノパートが難しい曲が少なくありません。ウェーバーの協奏曲やコンチェルティーノはオーケストラをピアノに移したものなので音数が多く、ショーソンやドビュッシーは和声が複雑です。学校の先生や友人に頼む場合は、候補曲の伴奏譜を先に見てもらって、引き受けてもらえるかを確認してから決めてください。
伴奏者が見つからない場合は、無伴奏の曲かエチュードで参加する方法があります(後半で紹介します)。
条件3:技術の壁(ダブルタンギング・高音域・跳躍)
クラリネットはダブルタンギングを使わずに吹ける曲が多い一方で、高音域(ハイF以上)と大きな跳躍が壁になります。メサジェ、ピエルネ、カユザックは高音も跳躍も控えめで、音色と歌い方で勝負できます。ウェーバーの協奏曲やラボー、ショーソンは高音域の速いパッセージが続き、シングルタンギングの速さが問われます。
もうひとつの壁は息です。伸ばしの多い曲(カンティレーナ、カンツォネッタ)はロングトーンの質がそのまま点数になり、ごまかしがききません。自分の今の武器が「音色」なのか「指」なのかで、選ぶ曲は変わります。
【早見表】クラリネット ソロコン曲20選(目安時間・伴奏・タンギング・4分ルール)
目安時間は一般的な演奏例をもとにした数字で、版やテンポによって前後します。「4分ルール」は、全日本中学生・高校生管打楽器ソロコンテストの規定に対する相性です。
| 曲(作曲者) | 目安レベル | 目安時間 | ピアノ伴奏の負担 | ダブルタンギング | 4分ルール |
|---|---|---|---|---|---|
| クラリネット・ポルカ(ポーランド民謡/プロハスカ編) | 中学〜 | 約3分 | やさしめ | 速いシングル | 収まる |
| カンツォネッタ(ピエルネ) | 中学〜 | 約4分 | やさしめ | 不要 | ほぼ収まる |
| カンティレーナ(カユザック) | 中学〜 | 約4分 | やさしめ | 不要 | ほぼ収まる |
| ソロ・ド・コンクール(メサジェ) | 中学〜 | 約6分 | 中 | 不要 | カットが必要 |
| コンチェルティーノ(ウェーバー) | 中学上級〜 | 約9分 | 中〜難 | 不要 | 大幅なカットが必要 |
| 幻想小曲集 Op.73より1曲(シューマン) | 中学上級〜 | 1曲 約3〜4分 | 中〜難 | 不要 | 1曲なら収まる |
| ソロ・ド・コンクール(ラボー) | 高校 | 約6分 | 中〜難 | 不要 | カットが必要 |
| 序奏とロンド(ヴィドール) | 高校 | 約7分 | 中〜難 | 不要 | カットが必要 |
| クラリネットソナタ 第1楽章(サン=サーンス) | 高校 | 約5分(全曲は約16分) | 中 | 不要 | 軽いカットで収まる |
| イタリア幻想曲(ボザ) | 高校 | 約6分 | 中 | 一部 | カットが必要 |
| 協奏曲 第3番 第1楽章(シュターミッツ) | 高校 | 約7分 | 中 | 不要 | カットが必要 |
| アダージョとタランテラ(カヴァリーニ) | 高校 | 約7分 | 中 | 速いシングル | カットが必要 |
| アンダンテとアレグロ(ショーソン) | 高校上級〜全国 | 約7分 | 難 | 不要 | カットが必要 |
| 協奏曲 第1番 第1楽章(ウェーバー) | 全国・音大受験 | 約8分 | 難 | 不要 | 大幅なカットが必要 |
| プレミエ・ラプソディー(ドビュッシー) | 全国・音大受験 | 約8分 | 難 | 不要 | 大幅なカットが必要 |
| クラリネット協奏曲 第1楽章(モーツァルト) | 全国・音大受験 | 約12分 | 中 | 不要 | 大幅なカットが必要 |
| 序奏、主題と変奏(ロッシーニ) | 全国・音大受験 | 約10分 | 中 | 速いシングル | 変奏を選んで収める |
| ソナタ 第1楽章(プーランク) | 全国・音大受験 | 約5分半 | 難 | 不要 | 軽いカットで収まる |
| 3つの小品(ストラヴィンスキー・無伴奏) | 高校〜・無伴奏 | 全曲 約4分 | なし | 不要 | 収まる |
| 無伴奏クラリネットのための5つの小品(コヴァーチ)ほか | 高校〜・無伴奏 | 1曲 約3〜4分 | なし | 曲による | 収まる曲が多い |
※スマホは表を横にスクロールできます
千葉県のソロコンで実際に演奏された曲(2016〜2021年・クラリネット)
日本吹奏楽指導者協会 千葉県部会は、ソロコンテストで演奏された曲を楽器別に公開しています。ソロコンテスト参考曲(JBA千葉県部会)のクラリネット36件(中学18件・高校18件)を集計すると、顔ぶれは次のとおりでした。
| 曲(作曲者) | 回数 | 中学 | 高校 |
|---|---|---|---|
| クラリネットソナタ Op.167(サン=サーンス) | 4 | 2 | 2 |
| ソロ・ド・コンクール(ラボー) | 3 | 1 | 2 |
| ソロ・ド・コンクール(メサジェ) | 3 | 1 | 2 |
| 序奏とロンド(ヴィドール) | 3 | 2 | 1 |
| コンチェルティーノ(ウェーバー) | 2 | 2 | 0 |
| 協奏曲 第1番(ウェーバー) | 2 | 0 | 2 |
| アンダンテとアレグロ(ショーソン) | 2 | 0 | 2 |
| 協奏曲(シュターミッツ) | 2 | 1 | 1 |
| 夏のある日の夕闇に(下田和輝) | 2 | 2 | 0 |
| カンツォネッタ(ピエルネ)/カンティレーナ(カユザック)/クラリネット・ポルカ/イタリア幻想曲(ボザ)/幻想小曲集(シューマン)/協奏曲(モーツァルト)ほか | 各1 | — | — |
ここから読み取れることは2つあります。ひとつは、中学生でもメサジェ・ラボー・ヴィドールといったパリ音楽院の試験曲が選ばれていること。6分前後の曲なのでカットは必要ですが、歌と技巧の両方を見せられます。もうひとつは、サン=サーンスのソナタが中学・高校を通じて最多だったことです。第1楽章だけなら約5分で、軽いカットで4分に収まります。
なお、県の本選会は全国大会より制限時間が長い場合があるため、モーツァルトやウェーバーの協奏曲のような長い曲も入っています。4分規定の大会に出るときは、早見表の「4分ルール」の列を優先してください。
中学生におすすめのソロコン曲
クラリネット・ポルカ(ポーランド民謡)
ソロコンテストだけではなく、コンサートでも演奏してみたいと人気の楽曲なのがこの「クラリネット・ポルカ」です。
ポルカとはポーランドの民謡で、ダンス音楽の1種となっています。
まれにこのクラリネット・ポルカのテンポを限界まで上げて、超絶技巧のように吹く方もいますが、それは本来この楽曲の意図するところではありません。
どちらかと言えば、ほのぼのとした音楽であると言えるでしょう。
アルペジオやトリルなどで、必死になりすぎないように。
余裕をもって軽々と吹けるような演奏を目指してみてください。
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カンツォネッタ(ピエルネ)
ピエルネが1888年に書いた約4分の小品で、翌1889年に出版されました。穏やかに歌う主部と、少し動きのある中間部からなり、音色と歌い方だけで勝負できる曲です。高音も跳躍も控えめで、ダブルタンギングは不要です。4分規定にほぼそのまま収まり、千葉県のデータでも中学生が選んでいます。
カンティレーナ(カユザック)
名クラリネット奏者でもあったカユザックの作品で、フランス風の長い歌のフレーズが続きます。約4分で4分規定にほぼ収まり、伴奏もやさしめです。ロングトーンの質と息の配分がそのまま評価になるので、きれいな音を持っている人に向いています。
ソロ・ド・コンクール(メサジェ)
1899年にパリ音楽院の試験曲として書かれた約6分の作品です。千葉県のデータでは中学・高校ともに選ばれています。
ソロコンテストで演奏される、最も有名な曲と言っても過言ではないのが、このメサジェのソロ・ド・コンクール。
フランスの音楽大学、パリ音楽院の卒業試験曲として作曲された楽曲のため、高度な演奏技術と音楽性が求められる1曲です。
逆に言えば、それだけ音楽的にアピールできる要素が強い1曲であるとも言えます。
約6分間の楽曲ではありますが、ソロコンテストの制限時間が6分未満の場合であっても、カットをして演奏される方も多くいらっしゃいます。
後半はスタッカートも多く登場するので、指回しだけではなく、タンギングの技術も問われます。
クラリネットのタンギングのコツは、こちらの記事で詳しく解説しています。
>【クラリネット】タンギング完全解説!~基礎から応用、ダブルタンギングまで
コンチェルティーノ(ウェーバー)
千葉県のデータでは中学生が2回選んだ、中学生の定番です。全曲は約9分なので、序奏+変奏を選ぶ大幅なカットが前提になります。
ドイツのロマンは初期の作曲家、ウェーバーが書いたクラリネットとオーケストラのための楽曲です。
原曲はオーケストラですが、クラリネットとピアノで演奏される機会も多く、ソロコンテストの定番でもあります。
演奏時間は単一楽章で約9分と比較的長めですが、3部分から構成されていますので、カットすることも可能です。
徐々に緩から急なテンポに変化していきますが、超絶技巧の域まではいかないので、実力に自信のある中学生でもチャレンジできる楽曲となっています。
ただし使用する音域は広いので、自分が無理なく演奏できる音域になっているかは事前に確認するようにしましょう。
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幻想小曲集 Op.73(シューマン)
1849年に書かれた3曲からなる作品で、ソロコンでは1曲だけを演奏する人が多いです。第1曲「優しく、感情をこめて」は約3分で、4分にそのまま収まります。第3曲「速く、燃えるように」は技巧的で、高校生以上向けです。ピアノは独立した歌を持つ難しいパートなので、伴奏者と早めに合わせてください。
高校生で入賞を狙うソロコン曲
ソロ・ド・コンクール(ラボー)
1901年に出版されたパリ音楽院の試験曲です。千葉県のデータでは3回選ばれ、高校生の本命になっています。
1901年にパリ音楽院のコンクール用に作曲されたこのラボーのソロ・ド・コンクールは、ソロコンテストでも人気の高い1曲です。
カデンツ・ゆったりとしたLargo、快活なAllegroと3つの大きな音楽的な表情がありますので、それぞれの表情を出せるように工夫してみてください。
冒頭のカデンツで聴衆や審査員の心をつかめるかが演奏のポイントになってきます。
カデンツはこの楽曲の中でも、難易度は高めです。難易度の高い箇所が冒頭にあるということは、それだけプレッシャーがかかるということになります。
中学生でもチャレンジしている楽曲ではありますので、ぜひ取り組んでみてください。
序奏とロンド(ヴィドール)
パリのコンセルヴァトワールの卒業試験に使われる楽曲です。
様々なスケールが登場し、基礎力が問われます。
また高音域を美しく響かせる必要がありますので、しっかりと自分の奏法を見直す必要があります。
高音域を出すためのコツは、こちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひお読みください。
>【クラリネットの高音域】きれいに・柔らかい音で出すためのコツを徹底解説
アゴーギグを使って、自由に表現できるように、ピアニストとの合わせ時間はしっかり確保しましょう。
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クラリネットソナタ(サン=サーンス)
千葉県のデータで中学・高校あわせて4回と最多の曲です。第1楽章は約5分で、軽いカットで4分に収まります。
フランスの作曲家・巨匠であるサン=サーンスの晩年に作曲されたこの楽曲。クラリネットのレパートリーにおいて重要な1曲の位置づけとなっており、クラリネット奏者なら誰しもが演奏したいと思うはず。
トータルの演奏時間は16分と長いため、演奏する楽章を選ぶ必要があります。
4つの楽章からなるこのクラリネットソナタは、各楽章ごとに持つ性格や求められる技術が大きく変わってきます。
例えば音色で勝負したいなら第1楽章、テクニックで勝負するなら第4楽章のように選んでいきましょう。
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イタリア幻想曲(ボザ)
ボザがイタリア風の旋律で書いた約6分の作品で、歌う部分と軽快な部分の対比がはっきりしています。中間部の速いパッセージで指の精度が問われます。千葉県のデータでは中学生が選んでいますが、仕上げるには高校生程度の技術が欲しい曲です。
協奏曲 第3番(シュターミッツ)
古典派のクラリネット協奏曲で、第1楽章が約7分です。古典の様式感(装飾・アーティキュレーション・フレーズの対称性)が問われ、音大受験の準備にもなります。千葉県のデータでは中学・高校それぞれ1回ずつ選ばれています。
アダージョとタランテラ(カヴァリーニ)
19世紀イタリアの名奏者カヴァリーニの作品で、歌うアダージョと、速い6/8拍子のタランテラの2部構成です。約7分なので、アダージョの一部+タランテラの構成でカットします。タランテラは速いシングルタンギングの持久力が試されます。
全国大会・音大受験レベルのソロコン曲
アンダンテとアレグロ(ショーソン)
ショーソンが1881年にパリ音楽院の試験曲として書いた約7分の作品で、千葉県のデータでは高校生が2回選んでいます。アンダンテの濃密な歌と、アレグロの高音域を駆け回るパッセージの両方を、フランス的な音色の変化で聴かせる曲です。伴奏も難しく、ピアニストとの入念な合わせが必要です。
協奏曲 第1番 ヘ短調 Op.73(ウェーバー)
クラリネット協奏曲の代表作で、千葉県のデータでは高校生が2回選んでいます。第1楽章は約8分で、オーケストラの序奏を省き、提示部+再現部の一部という形で4分に収めます。高音域の速いパッセージと跳躍が続くので、全国を目指す高校生向けです。
プレミエ・ラプソディー(ドビュッシー)
ドビュッシーが1909〜10年にパリ音楽院の試験曲として書いた約8分の作品で、1910年にデュラン社から出版されました。夢のような序奏から、スケルツァンドの軽やかな部分まで、音色と表現の幅がそのまま点数になります。伴奏は非常に難しく、4分規定では大幅なカットが必要です。
クラリネット協奏曲 イ長調 K.622(モーツァルト)
クラリネットのための最高峰の協奏曲です。第1楽章は約12分なので、4分規定では提示部の一部だけになります。第2楽章アダージョ(約7分)を中間を省いて演奏する人もいます。古典の様式感と音色の純度が問われ、音大受験では必ず通る曲です。千葉県のデータでは中学生が選んでいました。
序奏、主題と変奏(ロッシーニ)
ロッシーニのオペラ風の主題に華やかな変奏が続く約10分の曲です。変奏ごとに区切りがあるので、主題+得意な変奏2〜3つを選べば4分に収められます。速いシングルタンギングと高音域の跳躍が前提になります。
ソナタ(プーランク)
プーランク晩年の1962年の作品で、千葉県のデータでは高校生が選んでいます。第1楽章は約5分半で、軽いカットで4分に収まります。近代的な和声とリズムを、クラシックの歌い方で美しく吹けるかが問われます。
無伴奏(ピアノなし)でソロコンに出る場合
奏者によってはピアニストにお願いできない、といった事情もあるでしょう。その場合は無伴奏の曲か、エチュード(練習曲)で参加する方法があります。
- 3つの小品(ストラヴィンスキー):無伴奏クラリネットの名曲。全曲で約4分、4分規定にほぼ収まります。第3曲はジャズ風のリズムで技巧的です。
- 無伴奏の小品集:コヴァーチやスタークの無伴奏作品は1曲3〜4分で、4分に収まる曲が多いです。
- エチュード:ローズの32のエチュードやジャンジャンのエチュードで参加する人もいます。おすすめはクラリネットのエチュードを難易度順に解説した記事で紹介しています。
4分に収めるカットの考え方
名曲の多くは4分を超えるため、ソロコンではカットが前提になります。審査員が聴きたいのは「歌う力」と「動く力」の両方なので、どちらか一方だけが残るカットは避けましょう。
- 骨格を残す:序奏→歌う部分→技巧的な部分→終結、という流れが分かるように切ります。途中で終わる印象を与えないこと。
- テンポで稼がない:速くして時間を縮めると、音楽が崩れて減点されます。切る場所で調整します。
- つなぎ目は和声で判断する:同じ調・同じ和音で戻れる場所を選びます。分からないときは、ピアニストや先生に楽譜を見てもらってください。
- 伴奏者と早めに共有する:カット後の楽譜を伴奏者に渡し、合わせの初回から本番の形で練習します。
- 時間は本番のテンポで実測する:ストップウォッチで3回計り、一番長い記録が制限内に収まるようにします。本番は緊張で遅くなりがちです。
選曲でよくある失敗
- 伴奏譜の難しさを確認していない:自分のパートが吹けても、伴奏者が仕上がらなければ本番は成立しません。候補を2〜3曲に絞った段階で伴奏譜を渡しましょう。
- 難しい曲を選べば評価されると思っている:審査は「その曲をどれだけ音楽的に吹けたか」で決まります。背伸びした曲で崩れるより、ひとつ下の曲を完成させた方が上位に入ります。
- 楽譜の版を間違えて買っている:同じ曲でも出版社によってカデンツァや装飾、ページ割りが違います。先生と相談して版を決めてから購入してください。
- リードを本番直前に替える:鳴りが変わって調子を崩す原因になります。本番用のリードは1〜2週間前から育てておきましょう。
- 楽器の調整をしていない:本番の2〜3週間前には調整に出しておきましょう。詳しくは次の章で説明します。
本番前にやっておきたい楽器の準備

ソロコンは大一番の本番です。楽器が万全でなければ、練習の成果は出し切れません。服部管楽器と楽器王の2つのブランドが運営する管楽器修理センター「Claro(クラーロ)」で、クラリネットの調整・修理を受け付けています。見積もりは無料で、全国から郵送で依頼できます。
クラリネットはタンポの傷みやジョイントコルクの緩みが、高音の当たりと弱音の安定に直結します。「最近、上のレジスターが当たりにくい」と感じたら、本番前に一度見てもらってください。
楽器そのもののグレードを上げるのも選択肢です。新品は手が出ない、という方でも、服部管楽器なら調整済みの中古クラリネットを多数取り揃えています。クラリネットを専門にしているスタッフが、あなたの楽器選びを1から丁寧にサポートします。
選曲やカットを一緒に考えてくれる先生を探している方は、服部管楽器グループの音楽教室GIFT MUSIC SCHOOL のクラリネットレッスン(岡山・西巣鴨・蒲田・東大阪)で、30分の無料体験レッスンを受けられます。
楽器のことなら何でもお気軽にご相談ください。

クラリネットのソロコン曲 よくある質問
Q. 演奏時間が4分を超えたらどうなりますか?
全日本中学生・高校生管打楽器ソロコンテストでは、4分を超えた時点で演奏を中断されます。減点はありませんが、曲の終わりを聴いてもらえません。4分に収まるカットを作り、本番のテンポで3回計って確かめておきましょう。
Q. 中学生に一番人気の曲は何ですか?
定番は「ソロ・ド・コンクール(メサジェ)」と「コンチェルティーノ(ウェーバー)」です。千葉県の2016〜2021年の演奏曲データでは、中学生はウェーバーのコンチェルティーノとヴィドールの「序奏とロンド」が2回ずつ、メサジェ・ラボー・サン=サーンスも選ばれていました。
Q. ピアノ伴奏者が見つかりません。
無伴奏の曲(ストラヴィンスキーの3つの小品など)か、エチュードで参加できます。大会によっては伴奏が必須の場合があるので、実施要項の「伴奏」の項目を確認してください。
Q. A管の曲はB♭管で吹いてもいいですか?
モーツァルトの協奏曲やブラームスのソナタはA管のための曲ですが、B♭管用に移調した楽譜も出版されています。大会の規定で楽器の指定がなければ問題ありません。ただし調が変わると運指の難所も変わるので、楽譜を決めてから練習を始めてください。
Q. 本番前に楽器の調整は必要ですか?
必要です。タンポの傷みやキイのバランスは、高音の当たりと弱音の安定に直結します。本番の2〜3週間前に調整に出し、戻ってきた楽器で本番の形の練習を重ねてください。




























