「クラリネットでビブラートをかけてみたいけど、どのように演奏すればいいのかが分からない」「なぜクラリネットはビブラートをかけてはいけないの?」このような悩みはありませんか?
「クラリネットはビブラートをかけてはいけない」と言われてはいますが、実は特にジャズ・ポップスの世界では、ビブラートをかけて演奏することもあり得ます。
そこでこの記事では、吹奏楽CDのレコーディング30枚以上に携わり、ビブラートを多用するサックスも演奏する著者が、クラリネットのビブラートについて詳しく解説していきます。
この記事を読めば、クラリネットのビブラートのかけ方、どんなときにビブラートをかければ良いかなど、クラリネットとビブラートについて深く理解をすることができます。
ぜひ最後までお読みください。
クラリネットのビブラートのかけ方
クラリネットのビブラートのかけ方は大きく分けて2通りの方法があります。
あごでかけるビブラート
クラリネットのビブラートのかけ方の1つ目は、「あご」でかける方法です。
2種類あるビブラートではこちらが一般的で、サックスでも同じようにあごでビブラートをかけており、シングルリード楽器では定番の方法です。
具体的な奏法としては、クラリネットを演奏しながら「アウアウ」と言います。
下あごを上下させると音程が変わり、音に波がかかります。
あごの動きが大きくなるほど、かかるビブラートの波も大きくなるので、ビブラートのかけ過ぎには注意してください。
噛み過ぎるとリードの振動を妨げてしまうので、どちらかと言えばアンブシュアを緩める方に注力すると良いでしょう。
息でかけるビブラート
クラリネットのビブラートのかけ方の2つ目は、「息」でかける方法です。
こちらはフルートやオーボエなどで採用されているビブラートのかけ方です。
具体的には息のスピードを変化させて(速い息と遅い息を交互に使って)、波をかけます。
お腹・横隔膜を使って、息のスピードを変化させましょう。
しかし、前述したあごのビブラートと比べ、息でビブラートをかけた場合、波はかかりにくいです。
そのため、あごのビブラートと併用して使うクラリネット奏者もいらっしゃいます。
ビブラートの練習方法
ビブラートの練習には、以下のような楽譜を使います。

テンポを♩=60~80の間くらいに設定して、楽譜に書かれたリズムで波がかかるように練習しましょう。
タンギングはテンポが上がるほど良いですが、ビブラートはそこまで速い波を使わないので、テンポ♩=80で16分音符が入れば十分と言えます。
音域によって波のかかりやすさに違いがあるので、様々な音域で練習するようにしましょう。
ただし、ビブラートの練習を行っていいのは、音をまっすぐに安定して伸ばせるようになってからです。
音をまっすぐ伸ばすには、安定したアンブシュアが必須となります。
音がまっすぐ伸びない場合は、まずはこちらの記事で、アンブシュアについて詳しく学んでみてください。
>【初心者向け】クラリネットのアンブシュアの作り方とコツを徹底解説!&よくある悩みに回答
音をまっすぐ伸ばせない段階でビブラート練習を行うと、アンブシュアを安定させるのに、より多くの時間を費やしてしまいます。
ビブラートをかける場面
ビブラートをかける”傾向”がある音は、次の通りです。
- 2分音符以上の長い音
- 主張すべき音(フレーズの頂点など)
あくまで”傾向”に過ぎないので、これらの音全てにかければ良い、といった単純な話しではありません。
どの音にかければより音楽的になるのか、考えてビブラートを行う必要があります。
また音を伸ばしている際、最初はノンビブラートでまっすぐ吹いておいて、最後の方だけでビブラートをかけるという表現方法もありです。
ビブラートのバリエーション
ビブラートは「かける」か「かけない」かの2択ではありません。
ビブラートをかける場合は、どのようなビブラートをかけるかまで意識することができれば、さらに1ランク上の音楽表現を身につけることができます。
ビブラートの波の大きさと速さで、様々なバリエーションを作ります。
基準となるのは次の図です。

波の速さが速いほど、波の大きさが大きいほど、テンションの高い表現が可能です。
また、A~Eの5パターンを作るわけでなく、例えばAとBの間のような表現もできます。
こうすることで無数のビブラートのパターンができるのです。
なぜクラリネットではビブラートをかけない奏法が一般的なのか?
実はクラリネットにビブラートをかけてはいけない理由というのは諸説あり、これといった明確な答えはありません。
一般的に言われているのは、「音程が安定しているから」という理由でビブラートをかけない、といったものです。
音程が安定しているので、ビブラートをかけて音程を震えさせる必要がなかったということです。
一方で音程が不安定だったオーボエやファゴットは、楽器の開発当時からビブラートは必須技術とされていました。
もう1つ有力な説としては、クラリネットが閉管楽器で奇数倍音が多いから、というものです。
奇数倍音が多いクラリネットのような楽器でビブラートをかけると、くどい音色に聴こえると言われています。
クラリネットでビブラートはかけるべきか?
ではクラリネットではビブラートをかけない方が良いのかというと、そんなことはありません。
演奏する曲のジャンルによって、クラリネットのビブラートの立ち位置は大きく変わってきます。
クラシックの伝統的な曲はビブラートをかけないスタイルが確立しているので、その伝統を重んじて、ビブラートをかけずに演奏する方が美しく聴こえるでしょう。
一方でジャズ・ポップスの世界では、クラリネットであってもビブラートは必要な奏法とされており、多用されています。
クラリネットアンサンブルではオルガンのような響きを出すため、ビブラートをかけないのが一般的ですが、ソロでビブラートをかけるかはプロの間でも意見が分かれるところです。
最終的には奏者自身がどのような演奏にしたいか、というのが1番大切であると考えます。
もちろんオーケストラ・吹奏楽では指揮者の意向が大切ですし、アンサンブルであっても他のメンバーとの調和が大切になります。
しかし、特にソロでの演奏は奏者の自由な解釈が許されるので、自分の好みで曲を作ってみることがおすすめです。
音色や歌い方にそれぞれ奏者の好みがあるのと同じように、ビブラートをかけたクラリネットの音が好きならば、使ってみましょう。
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