「サックスを吹いていると口や身体が疲れてしまって、長時間演奏ができない…」このような悩みはありませんか?
実はサックスを正しい奏法で吹けてさえいれば、疲れることはあまりありません。
そこでこの記事では、サックス歴20年以上、サックス講師も務める著者が、サックスを吹くときに疲れないようにする方法を伝授したいと思います。
著者は実際、サックスを吹いても身体はほとんど疲れません。(頭・脳みそは疲れますが…)
この記事を読めば、あなたもきっと楽にサックスを演奏できるようになると思います。
ぜひ最後までお読みください。
疲れないためのアンブシュア
まずは疲れないためのアンブシュアについてレクチャーしていきます。
マウスピースは噛まないこと
「サックスを吹いていて口が疲れる」という方の半数は、マウスピースを噛み過ぎていることが原因となっていることが多いです。
長時間吹いていると、下唇に歯形ができてしまい痛くなる、というのがマウスピースを噛み過ぎている方の特徴となっています。
まず、即効性のある対策としては、クリーニングペーパーなどの紙を折って、下の前歯にかぶせると、痛みを和らげることが可能です。
ちなみに著者は、クリーニングペーパーではなく、100均に売られているあぶら取り紙を2枚重ねて使用しています。
そもそもサックスを吹くうえで、顎(あご)を使って噛む必要はほとんどありません。
試しに顎の力を使わず、唇とマウスピースが触るだけの状態でロングトーンをし、少しずつ口を締めていってみてください。
最初は開いてしまった、楽器を始めたばかりの人が吹いたような音色になりますが、ほんの少し口を締めれば、十分に音がまとまるのが分かると思います。
この練習を使って、「マウスピースを噛まなくても良い」という感覚を養ってください。
マウスピースを噛んでしまうと、リードの振動を妨げてしまいます。
音は振動によって生まれます。サックスの音はリードの振動によって生まれているのです。
その振動をマウスピースを噛むことで妨げてしまうと、より多くの息が必要になってしまいます。
そこで息を吹き込もうとすると、口に力が入りやすくなってしまい、よりマウスピースを噛んでしまうという悪循環を生んでしまいがちです。
逆にマウスピースを噛まずに、リードの振動をフルに活かしてあげると、楽に演奏することができます。
そうすることで疲れない奏法となっていくのです。
口の周りの筋肉を使ってマウスピースを締めるようにする
アンブシュアが疲れるという原因として、マウスピースを噛むことの次に多いのが「口の周りの筋肉が疲れる」というものです。
実は、口の周りの筋肉が疲れるという状態はそんなに悪い状態ではなく、むしろ人によっては良い傾向である、とも言うことができます。
顎は物を食べるのに普段から使っているので、非常に発達していて、力が強いです。
サックスを吹くには十分すぎる、むしろ過剰なほど力が強いのが特徴となっています。
一方で、口の周りの筋肉は普段の生活でそれほど使う局面はなく、サックスを吹くときくらいしか使いません。
そのため、目一杯口の周りの筋肉を締めようとしても、それほど強い力は出ないのです。
口の周りの筋肉でマウスピースを締めても、それほど力が出ないのでリードの振動を妨げることはありません。
そのため、口の周りの筋肉を使っている限り、楽に演奏することができて、疲れにくいです。
しかし、前述した通り口の周りの筋肉は日常でほとんど使う機会がないため、疲れやすいです。
口の周りの筋肉が疲れるということは、当たり前ですが口の周りの筋肉が使えているということになり、良い傾向とも言えます。
ロングトーンなどで口の周りの筋肉を鍛えるように意識してみてください。
良いアンブシュアとは?
最終的に良いアンブシュアとは、どのように作ればよいのでしょうか。
そのヒントはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ読んでみてください。
>【初心者向け】サックスのアンブシュアの作り方・吹奏楽奏者必見!
セッティングを見直してみる
セッティングを見直してみることも、疲れない演奏につながることがあります。
具体的には、マウスピースの開きを狭くしたり、リードの番手を下げてみたりすると、抵抗感が軽くなり使う息の量が減るため、楽に演奏することができるようになります。
響きや音量を手に入れるために、抵抗感の重いセッティングを好む方も多いですが、一旦立ち止まって考えてみましょう。
確かに抵抗を重たくするほど、響きや音量を得やすいというメリットはありますが、音を出すのがそもそも難しい、より多くの息が必要になってしまうというデメリットも存在します。
少なくとも著者は好んで軽いセッティングを使っています。
サックスはもともと音量も出て響きも豊かな楽器なので、セッティングでそれ以上を望まない、それよりも音の出しやすさや反応の良さを優先しているのです。
抵抗感の軽いセッティングを試したことがない方は、ぜひ試してみてください。楽に演奏できるようになると思いますよ。
それと気をつけておきたいのは、きちんと選定されたマウスピースとリードを使うということです。
同じ型番であっても、マウスピースやリードには個体差があるので、良い個体を選ばなければかなり吹きにくいです。
マウスピースとリードは必ず選定するようにしてください。
選定する自信がない場合は、プロの選定品を使うようにしましょう。
リードの育て方も重要になってきます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
腹式呼吸を徹底する
腹式呼吸を使って、深く息を吸うことも、楽な演奏につながります。
試しに楽器を置いて、息を深く吸ってみてください。そして、その後に脱力します。
どうでしょう?息を吐こうとしなくても、勝手に身体の外に息が出ていくのがわかりませんか?
このように深く息を吸うことができると、息を吐こうとしなくても息を吐くことができるのです。
この脱力しただけで出る息の力もプラスして、サックスを演奏するようにします。
すると普段より、演奏する際の息の量が減っているのではないかと思います。
使う息の量が少ないので、楽に演奏することが可能です。
このように、息を吸うことに重点を置く考え方を「吸気主動」とも呼んでいます。
普段から深く息を吸うことを習慣付けるようにしてください。
ストラップを正しく使う
見逃されがちですが、ストラップを正しく使うことも、疲れないで演奏するためには必要です。
まずはストラップの長さを見直してみましょう。
首を下げて、マウスピースをくわえにいってないかもチェックポイントとなります。
首は自然に真っ直ぐにした状態、その状態の口にマウスピースが近づいていくようにストラップの長さをセットします。
試しに首を下げた状態で呼吸してみてください。
喉のあたりでひっかかってしまい、スムーズに呼吸できなくなることが分かると思います。
首をまっすぐにした状態で吹く、ということは疲れない奏法につながると分かっていただけたでしょうか。
また楽器の重さはストラップだけで支えるのが正しい奏法です。
右手の親指で楽器を支える必要はありません。サムフックに引っかけておくだけです。
楽器の重さは全てストラップで支えるので、首だけに重さがかかるストラップは負荷がかかりすぎるかもしれません。
個人的にオススメしているのが「ブレステイキング」というストラップです。
首だけでなく、重さを分散してくれます。
ブレステイキングにはS・M・Lとサイズがあるので、ご自身の体格に合ったものを使用してください。
また「ラップリフト」という付属品をブレステイキングに装着すると、より楽器の重さが軽減されたように感じます。

サックスのストラップの種類は、かなり多くのものが発売されています。
ストラップに関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ読んでみてください。
脱力して演奏する重要性
サックスの演奏は脱力して行うことが望ましいです。
力が入ってしまっている場所がある場合は、力を抜けるように研究することが大切になってきます。
実はサックスの奏法には流派があります。アンブシュアなどの考え方が流派によって異なりますが、脱力だけはどの流派であっても行うように言われているのです。
脱力が上手くいけば、アンブシュア・タンギング・ビブラートなど、どの奏法においてもメリットがあります。
つまり、脱力はないがしろにされがちですが、サックス演奏で最も大切な事と言うことができます。
ぜひ皆さんも演奏時に脱力ができているか見直してみてください。
もちろん脱力して演奏することができれば、サックスを吹いていても疲れにくくなります。
楽器を持ち替えて、より楽な演奏を手に入れてみませんか?

使う楽器のモデルによって吹きやすさは変わってくるもので、やはり上級モデルの方が吹きやすいと感じる方が多いようです。
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